北海道の小さな町に、インド人が急増中…その驚きの理由とは? 今や比率は東京・江戸川区の3倍 多文化共生の“未来モデル”として注目

襟川 瑳汀 襟川 瑳汀

浦河町の多文化共生への取り組みに注目したい

 とはいえ、課題はまだ山積しています。

 ひとつにはやはり言葉の問題。ヒンディ語という「言語の壁」は非常に高いため、業務はどうしても属人化しやすくなる。これは、安定的な行政サービスを提供する上ではリスクの高いことです。インド人と日本人との間でコミュニケーションの仲立ちをしてくれる人に万一のことがあれば、途端に業務が滞ってしまうからです。

 そこで浦河町では、専門の日本語教師による日本語教室を頻繁に開催するほか、総務省が推進するふるさとワーキングホリデーや、CIR(国際交流員制度)を活用して、ヒンディ語通訳ができる人材の安定的な確保に力を入れています。

 昨年は大阪大学外国語学部の学部生や東京外国語大学の大学院生らが来てくれたとのことですが、今年もまた強力に募集をかけるとか。「年齢性別も、資格の有無も問いません。多少でもいいからヒンディ語の心得のあるかた、是非お問い合わせください」と若林さん。

 文化や生活習慣のギャップにも課題が残っています。特に子育て・教育や、医療・健康増進などの分野では日本人とインド人とでは感覚が違うところも大きく、苦労も多いとか。

 このため浦河町では、2023年から多文化共生推進事業に着手しました。テーマを設けて、インド人・日本人が一緒に学ぶ多文化共生ワークショップの開催や、外国人を雇用したい浦河町内の事業者向けセミナー、各種交流イベントなどがすでに実施されています。また今後は、日本人住民を対象にした広報活動にも注力していくとのこと。外国人向けのイベントに町の予算が使われることに批判的な住民もいるからだそうです。

 こうした施策が成果を挙げるのはもう少し先のことになるでしょうが、成り行きを注目しておきたいところです。なぜならば少子高齢化が急速に進む日本にあって、移民や外国人労働者をどうするか・いかに処遇するかは、否応なしに突きつけられてくる国民的関心ごとになるはずだからです。

 浦河町の多文化共生への取り組みは、われわれの「次の社会」のありようを考える上で、格好のモデルケースになるのではないでしょうか。

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