ゴルフはビジネスに役立つという人がいます。株式会社ライズ・スクウェアが社会人のゴルフ経験者に聞いた調査(2022年12月公表)によると、ゴルフをすることで「コミュニケーションが円滑になった」「仕事がスムーズになった」などのメリットがあったといいます。
その一方で、上司から誘われる休日ゴルフに、悩まされている人もいるようです。
念願の営業職について3年目になるAさんは、仕事にもかなり慣れ、大きな成果をあげることも増えてきました。この成果は、公私ともにさまざまな相談に乗ってくれた上司のおかげです。
上司は平日の仕事のサポートだけでなく、休日におこなわれる上司の仕事仲間たちでおこなうゴルフにも誘ってくれるなど、親身になってAさんを手助けしてくれています。
ただ最近、Aさんには彼女ができ、休日は彼女と過ごしたいと思うようになっていたのです。その事情を上司に伝えたのですが、彼は構わずゴルフに誘ってきます。彼女も連れてきたらいいじゃないかと上司は言うものの、会社のコミュニティの中に彼女を加えることで、彼女が気まずい思いをしてしまうのをAさんは絶対に避けたいと思っていました。
このようなゴルフのお誘いを上手く断る方法はないのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに詳しく聞いてみました。
ーどうすればAさんは上司の誘いを断ることができるでしょうか
「これまでお誘いいただきありがとうございました。今後はプライベートの時間を大事にしたいので、お誘いいただかなくて結構です」と明確に断ることが重要です。ここで「また誘ってください」や「別の日なら大丈夫なのですが」というように、ゴルフに行く可能性があると上司に伝えてしまうと、今後も上司からの誘いはなくならないでしょう。
ー明確に断ってしまうと、会社での立場が悪くならないでしょうか
休日ゴルフを断ったことを理由に人事査定を低くしたり、「あいつは付き合いが悪い」などと言ったりするのは、ハラスメントと認定される可能性があります。その場合は上司から言われたことを記録しておき、外部の相談窓口や人事部に相談するといいでしょう。
ーそもそも上司は休日の過ごし方にまで口を出せるのですか
休日の過ごし方は本人の自由なので、どのように時間を使うか上司が口をだすことは出来ません。また、休日に開催される会社のイベントに参加したり、仕事の遅れを取り戻すために自ら出勤するという場合には、休日出勤となりますが、合理的な理由がなければ休日出勤を命令することはできません。
ー上司との休日ゴルフは業務扱いになるのでしょうか
例えば「仕事の打ち合わせをするためにゴルフに行く」であるとか「取引先を交えて接待する」というように、事前に明らかに仕事とわかっていれば業務扱いになると考えられます。一方で、ゴルフ中に話の流れで仕事の話になったからといって、それが業務になるかというと難しいでしょう。
昭和の時代の働き方を知る人からすると世知辛いと感じるかもしれませんが、ワークライフバランスが唱えられるような現代では、誘う側の上司も配慮をする必要があるでしょう。
◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。
【出典】
株式会社ライズ・スクウェア/【ゴルフがビジネスに役立ったことランキング】男女225人アンケート調査
https://nicogolf.net/281