部下にプレッシャーを与えて萎縮させ、自分が優位に立ちたいとする上司、いわゆる“マウンティング上司”。株式会社識学(東京都品川区)が実施した調査によると、約3人に1人が、自身の勤める会社に「“マウンティング上司”がいる」と回答しました。“マウンティング上司”には、一体どんな特徴があるのでしょうか。
調査は、全国の20~59歳の会社員を対象として、2024年5月にインターネットで実施され、有効回答数は300件でした。
その結果、約3人に1人が「職場に“マウンティング上司”がいる」(30.8%)と回答。また、職場にいる“マウンティング上司”の性別は「男性」(82.3%)が圧倒的に多く、年齢では「50代」(47.0%)と過半数近くとなり、“マウンティング上司”は、「50代男性」という傾向がうかがえました。
続けて、職場にいる「“マウンティング上司”にあてはまる行動」を複数回答で答えてもらったところ、「過去の自慢をする」(54.7%)、「仕事が出来ることを自慢する」(42.7%)、「過去の苦労話をする」(41.7%)、「意見させてもらえない」(41.0%)といった回答が上位に挙がりました。
回答者からは、「『今のお前らの仕事は温すぎる』などと言ってくる」(38歳男性)、「自分の知識をひけらかしてきて自慢してくる」(49歳男性)、「情報を一方的に握り、マウントを取る言動で他を萎縮させて退職者が出ている」(35歳男性)といった声が寄せられています。
では、職場の“マウンティング上司”に対して、どのような対応をとることが多いのでしょうか。調査の結果、「無視するようにしている」(36.3%)が最多となった一方で、「意見せず従う」(30.7%)という人も約3割みられました。
なお、「“マウンティング上司”がいるグループのパフォーマンス」については、83.3%が「低くなると思う」と回答し、「高くなると思う」と答えた人はわずか16.7%にとどまりました。
一方、「職場に尊敬できる上司がいる」と答えた人は18.7%。具体的には「相手の意見に傾聴し、相手を尊重している」(35歳男性)、「部下の意見や気持ちを汲んでくれる優しい人」(33歳女性)、「丁寧にコミュニケーションを取ってくれる」(25歳女性)などの意見が目立ちました。
また、「理想の上司の条件」について複数回答で答えてもらったところ、「正しく評価してくれる」(63.7%)が最多となったほか、「仕事の割り振りが適切」(48.3%)、「仕事をサポートしてくれる」(42.7%)、「部下の成長を考えてくれる」(41.3%)といった回答も上位に挙げられました。
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調査を実施した同社は、「マウントという行為は上司側の位置認識の欠如が主な原因です。上司と部下は役割が違います。上司は部下を管理し、成長させ、チームを勝利に導くことが役割なので、部下と張り合ってはいけないのです」と説明。
さらに、マウンティング上司を生ませないための根本療法として、「会社として上司(管理者)に対して、何を求めているのかを明確に示すことです。その上でルールを定め、それに沿って仕事を進め、ルール認識の齟齬がある箇所でコミュニケーションを取っていくことが重要なのです」と述べています。