シェルターの外に猫影が!?
人慣れ五郎くんは、2022年7月下旬、愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)の仮住まいシェルターの窓の向こうに姿を現した。曇りガラスの向こうに見える人慣れ五郎くんのシルエット。シェルターの中にいた保護猫のボイスくんも気がついて、「ん?君は誰?どうしてそっち側にいるの?」と見つめていた。
その場にいたメンバーは、「これはいかん!」と、すぐに外回りを確認!人慣れ五郎くんがいたのでごはんをあげてみると、初対面にも関わらず無防備に食べる、食べる。ガツガツと食べ続けた。
「身体は痩せていて、耳にVカットもありません。マンションの管理会社に尋ねると、数週間前から目撃されていたようでした。保護してほしいと言われたので、保護しました」
野良猫でも地域猫でもない猫
人慣れ五郎くんの痩せた体を調べると、外での生活の過酷さが、身体のあちらこちらから伝わってきた。痩せているだけではなく、ところどころにケガがあり、犬歯も折れていた。
「怪我は猫同士の喧嘩によるものでした。もしこのまま放置していたら、傷は化膿し、体の抵抗力を奪っていたでしょう。折れた牙は戦いには不利です。外で生き抜くことは、とても大変なことなのです。」
その後、ねこけん動物病院の獣医師により、初期処置、去勢が行われ、人慣れ五郎くんは無事にねこけん保護猫の仲間入りを果たした。
仮の名前は、人懐っこかったので、「人馴れ五郎」になった。
「おそらく五郎は、このマンションの誰かにごはんをもらっていたのでしょう。ところが、その人は何の前触れもなく引っ越した。五郎はいつものようにごはんをもらいに来たけれど、ドアが開くはずもなく」
ねこけんによると、地域猫でもなく野良猫でもなく、飼い猫でもない。保護された日は台風が来て大雨、強風も吹いていた。
「本当に保護できて良かったと思います。五郎はシェルターにいる時から人の膝の上に乗るのが大好きで、いつも嬉しそうにしていました。今は自分専用の膝を見つけたので、もう二度と誰かの家の前をうろつくこともないでしょう」