通勤ラッシュの時に、電車内で過呼吸の乗客に遭遇したら―。東京都在住の30代男性が体験したエピソードが、X上で話題になっている。争点になっているのは「SOSボタン」を押すか、否か。電車がすぐに駅に着くことから、ある乗客が「押すな」と叫んだが、結局、別の乗客が押したのだという。どう対応すればよかったのか、JR東日本に聞いた。
非常停止ボタンも押す騒動に
5月7日午前8時過ぎ、埼京線の各駅停車に乗っていた際のエピソード。電車は十条駅手前で、過呼吸の女性は受け答えはできていた。そのためか、誰かがSOSボタンを押すと「はぁ」とため息を吐いたり、舌打ちしたりする人も。結局、「プー」と力の抜けた音が鳴ったが、電車は止まらなかったという。
驚きなのは、駅に到着後、SOSボタンを押した乗客が駅ホームの柱に設置されている「非常停止ボタン」も押したことだ。駅中に「ブー」という大きな音が響き渡り、駅員さんが駆け付けた。過呼吸の女性は介抱され、運ばれていった。
非常停止ボタンを押したためか、その日は遅延で数千人に影響があったという。「通勤時間帯の混雑する中、自分で受け答えができる程度の症状の人に対して、SOSボタンや非常停止ボタンを押すのはやりすぎではないか、と感じました。過密ダイヤの首都圏では大幅遅延します。駅に着いてから駅員に引き渡す方が影響が少ないと思いました」と話す。
「体調不良の場合は使用して構わない」
JR東日本によると、SOSボタンは「列車内で体調が悪くなった場合ならびにトラブル発生時や不審物を見かけた場合など」に使用するという。体調不良やトラブルが発生した際、車内から乗務員へ知らせるために整備しており、今回のように体調不良の場合は使用して構わないという。
また、車掌が近くにいる場合には電車を止めずに直接相談することは可能だが、「それ以外については、電車が止まる場合もありますが、SOSボタンを操作いただくことで乗務員が状況を確認させていただきます」とした。
一方、非常停止ボタンは「ホーム上から転落したお客さまを発見した場合ならびに走行中の列車に接触しそうなお客さまを見かけた場合、線路内に列車の運行に支障があるものを発見した場合など」に押すもので、今回の状況では該当しなさそうだ。