熱中症や暑さ対策として、大人から子どもまで広がりを見せる日傘。しかし普及するにつれ、思わぬ場所で使用する人が出始めました。その場所とは駅のホーム。差す側の言い分は「ホームの日差しがまぶしいから」。一方、目撃した人たちからは「人混みで日傘はダメだろ」「危ない」「怖いから離れた」などと問題視する声が上がっています。中には、駅員が注意する場面を見聞きしたという人たちも。大手鉄道会社2社に話を聞きました。
JR東「周辺へ接触、飛ばされる危険も」
駅ホームでの日傘使用は禁止行為なのでしょうか。
JR東日本(本社、東京都渋谷区)によると、同社管内では「一律に禁止するなどの対応は行っていない」としながらも、「駅により案内をおこなっている箇所があります」。
ホーム上で日傘を使うと、どんな危険が生じるのでしょうか。
「日傘を差してホーム上を通行時に、まわりのお客さまへ接触する危険等が考えられます。また、列車通過時や風が強い場合に(日傘が)飛ばされて、まわりのお客さまなどへ接触することも考えられます」(JR東担当者)
同社担当者は「ホーム上で傘や日傘を使用する場合、まわりのお客さまへの接触等にご注意をいただくとともに、列車通過時や風が強い場合に飛ばされることがないように、あわせて注意をお願いします」と呼びかけました。
阪急電鉄「お怪我につながる可能性が」
関西の私鉄大手、阪急電鉄(本社事務所、大阪市北区)では「日傘のご使用を禁止はしておりませんが、係員が危険と判断した場合はお声掛けを行い、傘を閉じていただいています」。
「他のお客様の目を突くなどのお怪我につながる可能性や、ラッシュ時など整列乗車いただく際の列が長大化し、列車との接触事故につながる可能性がありますので、まわりのお客様に危害が及ばないよう、また迷惑にならないようご配慮いただきたいと考えております」(阪急電鉄担当者)
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ある鉄道関係者は「ホームの直射日光は駅の立地によってもさまざま。全国一律で日傘禁止のルールを作るのは難しいのでは」と言います。
SNS上には「日傘はご遠慮くださいって言われてもまぶしい」や「駅員に注意されてもガン無視してる女性がおる」などといった声もありました。一律禁止でないとはいえ、駅員が注意したということは、他の乗客や列車の運行に支障が出る可能性があるということ。自身の身を守るために差した日傘が、周囲の人たちを危険にさらしていては本末転倒なのではないでしょうか。
駅ホームでの日傘の使用、あなたはどう思いますか。
東京ディズニーリゾートやロックフェスでは?
大勢の人が集まるテーマパークやイベント会場などでは日傘の使用を制限している場所があります。
東京ディズニーリゾートは公式サイトの中で、「混雑している場所では、皆様の安全のために日傘のご使用をご遠慮いただく場合があります」とし、「キャストからお願いがあった場合は、ご協力をお願いいたします」と理解を求めています。
毎夏恒例、国内最大規模の野外音楽フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」はこれまで、全面的に日傘は禁止でしたが、2022年7月に「熱中症対策を重視して、条件付きで日傘の利用を解禁することに決めました」と発表しました。
同年8月に開催されたイベントでは、休憩中やグッズ売り場などの店舗に並んでいる間に限り、日傘の使用を可能とし、ステージエリアと移動中の利用は引き続き禁止に。許可されたエリア内でも使用する場合は「まわりの人の迷惑にならないように気をつけていただければと思います」と注意を促しました。今年8月のイベントでも同様のルールが適用されます。