1.2ちゃんは、保護当時体重が1kg少ししかなかった成猫だった。水をすくうように両手のひらを合わせるとすっぽり収まる小さな猫。人は、「えっ!?それは子猫でしょう?」と言った。49匹多頭飼育崩壊の成れの果てだった。
愛護団体NPO法人ねこけんがレスキューに入った時、代表は1.2ちゃんを見つけるや否や「うっわ~!この子ヤバッ!すぐに病院へ連れていく!」と言った。目は黒く塞がり、口元は歪み、毛毛はバサバサ。うずくまっていて威嚇する気力も元気もなかった。
多頭飼育の度重なる近親交配の末なのか、小眼球症(先天的に眼球が異常に小さい奇形)で、更に十分な栄養が取れず、成長が止まってしまったそうだ。
人も猫も不幸になる多頭飼育崩壊
当初はあまりにも状態が悪く、「生きられるのだろうか?」とみんなが心配した。しかし、「絶対に救う!」という代表の精神で、保護後、病院でのケア、連日の点眼、点滴、薬の塗布をして、栄養価の高いフードを食べさせた。
「体重は倍の2kgになり、当初、見えないのではないかと思われた目も見えるようになりました。ずっと隅っこで隠れていたのですが、人がいてもソファでくつろぐようになりました。」
お世話ができないほどの猫を飼うと、猫も人も不幸な結末になることが多いという。
「毎回必ずレスキューが入るかといえば、それは分かりません。最悪の場合の結末は考えるだけでも恐ろしいことです。抱えきれないほどの多頭飼育になる前に、今一度、考えてみてほしいと思います。」