「土曜有給頂いてるんですけど、金曜も5時で早退して良いですか?」。スタッフから切り出された言葉に対する返事がX(旧Twitter)で注目を集めています。
投稿者のサトシィさん(@pomade_konpeito)は歯科医師であり、クリニックを運営している方。自身のクリニックで働くスタッフとの有給休暇についてのやり取りをXにポストしました。
「『土曜有給頂いてるんですけど、金曜も5時で早退して良いですか?』とスタッフが言うので、『ええよ、旅行か?』と聞くと『遠距離の彼氏の誕生日なんです♪』との事。『ほんまか!ほな金曜午後も半休取りや』と言うと『え!良いんですか』とめちゃ喜んでた。有給なんてそのためにあるんだろうが(笑顔の絵文字)」
有給休暇の取得を推奨してくれる上司の存在に、Xでは「本当に素晴らしい。良い職場に良い上司」「うちの会社もこうなってほしい」「『ええよ』と許可してから雑談として聞いてる。素直に理由を答えてくれるってことは信頼されてるんだろうな」等、絶賛の声が相次いでいます。サトシィさんにお話を聞きました。
開業当時は「言い難い時もありました」
サトシィさんは歯科クリニックを開業してから20年。地域密着型の町の歯医者さんとして親しまれています。
クリニックを運営する院長の立場として、有給休暇について「理由はなんでもいいし、申告する必要はない」と話すサトシィさん。今回だけでなく日頃からスタッフに声をかけているそうで、「とにかく人生一度きりなんだから、仕事ばっかりじゃなく今しかできない事をするように、といつも言うてます」。
しかし、これは開業から20年経ち、人手が足りてきた今だからこそ言えることだとも語ります。「(開業当時は)ギリギリの人数でやっていたので、正直有給を好きなようにとって良いよ、とは言い難い時もありました。おそらく今も、多くの歯科医院、また個人事業主の方は同じ悩みを抱えていらっしゃると思います」。
また、自身が勤務医だった頃は有給休暇や残業手当などほとんどなく、勤務医時代は「それが普通」と疑問に抱くこともなかったそう。
しかし時代の移り変わりとともに、自身がスタッフを雇用する立場になり、考えも変化していったといいます。「これからの時代は、それは通用しないと思います。若年人口がどんどん減っていくこれからは、いかにスタッフの待遇を改善して、人を大切にしていくか。それを考えてアップデートしていく職場が選ばれて生き残っていくのでは、、、と考えています」(サトシィさん)
投稿には2.4万を超えるいいね、数百件のコメントがつき大きな話題に。コメントのなかには「うちの会社も見習ってほしい」「こう言ってくれる上司がいたら…」と苦労する人も多いようで、サトシィさんは「正直、こんなに反響があるとは全く思っていませんでしたが、それだけ自由に有給を取る事が難しい人が多いんだろうなと」と語ります。
さらに、「今は誰もがネットで正しい知識を得られる時代です」とし、自身の職場の就業規則を知ることのほか、スマホ一つで世間一般の労働環境を知ることもできると話すサトシィさん。
「少し前に流行ったドラマ『不適切にもほどがある』ではないですが、昭和では当たり前だった常識が、令和の現代では受け入れられない事がほとんどです。人を雇うにあたって、そのあたりをきちんと整備しないと、これからの時代はいけないんだろうなと思います」。