宮内庁が4月1日に開設したインスタグラムの公式アカウント。天皇皇后両陛下と愛子さまのご公務の様子や馬車列の通行時間の案内など、豊富な写真や短縮動画、ときにはストーリーズ機能を使って発信し、5日午前10時時点で、フォロワー数は70万人を突破しました。そんな中、投稿文の「ある表現」がネット上で話題になっています。
それは「お始め」。
宮内庁が作成した初回の投稿文「令和6年1月1日(月・祝)、天皇皇后両陛下は新年をお迎えになりました。午前中に、皇居の宮殿において皇嗣同妃両殿下お始め皇族各殿下から祝賀をお受けになる新年祝賀の儀が行われました」の「お始め」は「を始め」の誤字ではないか、という指摘です。
SNS上には「『お始め』は『を始め』ですよね?」「お始めになってる」「誤字ってる」「誤字を見つけてしまった」「お始めなんて聞いたことない」「宮内庁がそんな初歩的なミスをするはずがない」など、さまざまな声が上がっています。
宮内庁広報室広報室長の藤原麻衣子さんはまいどなニュース編集部の電話取材に対し、「お始めは誤字ではありません」。
藤原室長によると、「お始め」は「始め」をていねいに表した言葉だそうで、漢字で書くと「御始め」。宮内庁の中では日常的に使う表現で、間違いという指摘は当たりませんでした。
宮内庁がSNSを活用するのは今回が初の試み。藤原室長は、今回の投稿文は「誤字ではないため、訂正などはしません」としながらも、「国民の方に情報を伝えるために始めたインスタグラムですので、今後は分かりやすい表現を心がけていきたい」と話しました。
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宮内庁ホームページを確認すると、「お始め」と「始め」がはっきりと使い分けられています。例えば「天皇皇后両陛下お始めご出席の皇族方」「皇太子殿下お始め皇族各殿下、内閣総理大臣始め、衆議院議長・参議院議長始め、最高裁判所長官始め…」「秋篠宮皇嗣同妃両殿下お始め皇族各殿下」「長官始め課長相当以上の者」など。「お始め」は皇室の方々に対してのみ使用していることが分かります。
「三省堂国語辞典」によると、「御」は「尊敬したり美化したりすることば」。例としては「お菓子、お酒、お日様」など。動詞につける場合は相手の動作を尊敬し、「お書きになる、お読みなさる」などの例えがあります。