「赤ちゃんがうるさい!静かにさせろ」実は難聴かも?高齢者が気付かないその症状とは

中将 タカノリ 中将 タカノリ

難聴赤ちゃんの泣き声の感じ方の関係性がSNS上で大きな注目を集めている。

「赤ちゃんの声がうるさいと感じる方は、難聴になっているのかも⁉️加齢性難聴をはじめとする感音難聴ではリクルートメント現象といって、『小さい音は聞こえないが、大きい音はうるさく聞こえる』という感覚が起こります 子供の声が騒音に感じる方は聴力検査をお勧めします」

と紹介したのは耳鼻咽喉科専門医・指導医、医学博士で医療記事執筆や医療コンサルタントも手掛ける音良林太郎さん(@Otola_ryntaro)。

人間は誰しも加齢とともに聴力が低下するものだが、特に高音域から聞き取りが難しくなり、音良さんの言うような「小さい音は聞こえないが、大きい音はうるさく聞こえる」という状況が生まれるようだ。

近年、SNS等では高齢者が公園で遊ぶ子供の声や公共の場所での赤ちゃんの泣き声にクレームを付ける事例がよく紹介されるが、もしかするとそれらも難聴が関係している可能性があるのかもしれない。

今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは

「あ!そのせいかも!
以前にニュースで 新たに幼稚園を建設するにあたって 現地のリクルートしたところ かなり高齢のご自宅が多くて 大反対され 廃止になったとか
子供たちの声がうるさい!らしいということです
なるほどです
元気な可愛い声がもう騒音に聞こえるらしいのです」
「最近これが気になっています。時々家族と話していて微妙に聞こえにくい感じするのに、甲高い音はキンキン頭に響く。」

など数々の驚きの声が寄せられている。
音良さんにお話を聞いた。

ーーご投稿の経緯をお聞かせください。

音良:今回私が行った投稿は、リクルートメント現象という、感音難聴特有の症状に関する内容です。私は特に聴覚、耳の症状が専門分野になります。難聴という症状は非常に多くの人が抱えているにも関わらず、症状があっても適切に検査もされず放置されていることをよく見かけるため、もっと多くの人に関心を持ってほしいと思っていました。

そんな中、「保育園が近くにできる計画があったが、周囲住民の反対で中止となった。反対した周囲住民の多くは高齢者の方である」というニュースを見て、もしかしてこの現象が関連しているのではないかと想起しました。難聴者の症状に対する啓蒙や問題提起ができればよいと思い、投稿に至りました。

ーーリクルートメント現象にはどのような対策をすべきでしょうか?

音良:リクルートメント現象自体は感音難聴の結果生じうる現象の一つで、完全に消し去ることは難しいです。ただ、多くの難聴者はこのような現象が起こること自体ご存じないのではないかと思います。リクルートメント現象を多くの方に理解していただければ、「普通に人がうるさく感じないような音をうるさく感じるってことは、私は難聴なのか?」と考えていただけたり、「難聴と診断がついているが、うるさく感じるのはこういう理由なのか」と安心していただけたりする、といった行動変容へ繋がる可能性があると思います。

ということで、リクルートメント現象かも知れないと思ったら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けてください。そして、実際に難聴によって日常生活で困難を感じているということであれば補聴器装用を検討いただければと思います。完全に消し去ることが難しくても、補聴器装用によって小さい音もある程度聞こえるようになるため、リクルートメント現象で悩む確立は少し減ります。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

音良:多くの方は「知らなかった!」「検査してみようかな」というような驚きの反応を頂きましたが、中には「子どもの泣き声はうるさいでしょ」や、「難聴はないけどうるさく聞こえるのはなんで?」といったような声もいただきました。

まず前提として、騒音に区分されるような70dB以上の大音量は、どのような聴力の方が聞いてもうるさいと感じます。私がリクルートメント現象としてあげたのは、あくまで普通に人がうるさく感じないような音をうるさく感じるである点を知っておいてほしいかなと思います。

その上で、今回コメントを寄せていただいた方のうち一部は、聴覚過敏ではないかと思います。難聴はなくても音がうるさく感じてしまうという症状は聴覚過敏と呼ばれ、リクルートメント現象とは異なります。聴覚過敏はなかなか難治性の症状ではありますが、やはり困っているようであれば耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

◇ ◇

近年、医学界では難聴と認知症の関連性が指摘されている。難聴に対して早期に対策することで、認知症の発症率を減らすことができる可能性があると、世界中で難聴に対し補聴器の早期導入が進められているようだ。思い当たりのある方は一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトご覧いただきたい。

なお今回の話題を提供してくれた音良さんはX上で日々、耳、鼻、のどに関する、役に立つ情報を発信中。ご興味ある方は要チェックだ。

音良林太郎さん関連情報

Xアカウント:https://twitter.com/Otola_ryntaro

◇ ◇

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ウェブサイト:(リンク

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