花粉症持ちの人が多い都道府県 2位は山梨と岐阜 スギの植林が多い地域と花粉症の関係は?

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なお、「花粉症に対する正しい理解と対処法」についてハピコワクリニック五反田院長の岸本久美子医師は以下のように解説しています。

花粉症に対する正しい理解と対処法

【“シーソー理論”って知ってる?押さえておきたい「花粉症のメカニズム」】
異物が体に入ってきたときに抗体を作って排除するという体が元々持つ防衛機能を「免疫」といいます。異物として入ってきた花粉を排除しようと過度に攻撃することで、体にさまざまな症状が起こり、花粉症を発症するのです。

花粉症といえば“コップ理論”が有名ですが、他にも複数のメカニズムが関わっているといわれており、中でも最近有名なのが“シーソー理論”です。免疫力のバランスをシーソーの原理に例えたもので、細菌やウイルスに対抗する免疫力よりも、花粉などのアレルギーに対抗する免疫力の負担が大きくなることで2つの免疫のバランスが崩れ、アレルギー症状が引き起こされてしまいます。

【花粉症になる人とならない人の違いは「遺伝」と「環境」による?】
花粉症になる人とならない人の違いは、元々の「遺伝的な要因」と「環境要因」の違いの2つが挙げられます。遺伝的な要因では、アレルギー体質が強い人は花粉症に限らず様々なアレルギーを引き起こしやすいといえます。また、環境要因では、住んでいる地域・家の中の環境によって花粉に接する機会が多いほど、発症の可能性が高くなります。

さらに、幼少期に発症したアレルギー症状を放置するとどんどん進行して、結果的に花粉症や気管支喘息などの症状につながってしまうこともあります。アレルギー対処のリテラシーを高くもち、小さい頃からスキンケアなどを徹底することで、他のアレルギー疾患の発症を比較的抑えることができるといえます。

【都会は花粉症を発症しやすい?花粉の特徴と環境が発症を左右することも】
環境はとても重要です。花粉の粒子は通常30μmで比較的大きいのですが、それが割れることにより、中からたんぱく質などの強い成分が放出されて、症状も強くなってしまいます。

特にスギの花粉は割れやすい特徴があるため、今回の調査でも明らかになっているとおり、スギの量は多くないものの花粉症の発症率が比較的高い東海・関東地方のように、都会でアスファルト量が多いと考えられるエリアだと、花粉が地面に落ちて割れやすく、さらに風で舞いやすいのです。

【睡眠不足や薬の過剰服用…花粉症によるパフォーマンスの低下が日常生活に与える影響】
花粉症の症状の中でも、意外にも相談を多く受けるお悩みは、“睡眠不足による日中のパフォーマンスの低下”です。家の中に持ち込まれた花粉によって鼻づまりが起こり、呼吸がしにくく睡眠に影響が出ることもあります。特に子どもは、寝不足に気づけないため、日中、過度に興奮したり逆におとなしくなったり、一見花粉症とは関係なさそうな行動を引き起こし、ADHDと勘違いされてしまうような事態もあり得ます。

他にも、花粉症でない人に症状のつらさを理解してもらえなかったり、風邪などと間違われたりする、また運転などへの影響を懸念して正しい薬の量を飲まずに悪化してしまうなど、日常生活への影響も大きいといえます。

【花粉症にならないため・和らげるためのHOW TO解説】
他のアレルギー症状を放置せず、しっかりコントロールすることが重要。子どもには幼少期から丁寧にスキンケアをしてあげることも発症率を下げることにつながります。また、花粉に物理的に触れないようにするために、自宅のカーペットの掃除や空気清浄機の設置など、住環境の見直しも必要です。

さらに、風邪など他の原因で鼻や喉などが荒れている際、粘液に花粉が溶け込んでしまうと新たに花粉症を発症してしまう恐れもあるため、風邪症状にもしっかり対処しましょう。そして、症状を和らげるためには、花粉飛散の1~2週間前から通院、または早期から市販薬の抗ヒスタミン薬などの使用を開始して、飛散が終わるまで継続することが最も大切です。

中には何を選んでいいか分からずに、間違った薬(風邪薬など)や規定以上の量を飲んでしまう人もいます。どのようなタイプの花粉症かを見極め、適正使用を心掛けましょう。鼻炎内服薬のほかに、点鼻薬や点眼薬を併用することで症状が緩和されることもあります。

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また、同社の花粉・アレルギー用薬開発担当の小林雅彦氏は「症状別 正しい薬の選び方と服用法」について以下のように解説しています。

症状別 正しい薬の選び方と服用法

【花粉・アレルギー用薬開発担当が解説。症状別に正しく薬を使い分けるには】
花粉が飛散し始め、症状が重くなる前の軽度な状態から早めにかつ継続して適切な医薬品を使って対策することが、症状を抑えるポイントです。医薬品の中でも、“花粉症持ち”の人が多く服用している内服薬ですが、症状がつらい場合には、内服薬に加えて鼻や目など局所の症状に効く点鼻薬や点眼薬を併用できるので、活用してみてください。

【数ある薬の中から症状に合わせて選ぶ方法と注意点】
事前に症状の重さやつらいことが想定できている人には、内服薬のほかにステロイド点鼻薬を併用することがおすすめです。速効性はないものの症状が出始めたらすぐに継続して使うことで症状の悪化を抑えられます。

また、花粉飛散のピークで症状がつらく、今すぐ抑えたいという人には、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤に加えて血管収縮剤を配合した点鼻薬へ一時的に切り替えることもおすすめします。鼻粘膜の腫れを抑え、鼻づまりに速効性があります。点鼻薬と点眼薬の併用も可能なので、目のかゆみがある場合は一緒に点眼薬をお使いになることをおすすめします。

一方で、長期連用は副作用を引き起こす可能性があるため、用法用量を守って正しく使用してください。また、点鼻薬同士や点眼薬同士の併用はできないので、必ず症状に合わせて、選んで使い分けることが、対策のカギといえます。

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【出典】
▽第一三共ヘルスケア「花粉症に関する全国調査」

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