1999年7月1日に朝日ソノラマより出版された『私が見た未来』(作:たつき諒)は、表紙に「大災害は2011年3月」と書かれています。偶然にも書かれた通りに東日本大震災が発生し、本書は予言書ではないかと騒がれ平成の奇書とも呼ばれるようになりました。
一方で『私が見た未来』から遡ること9年、ノストラダムスの大予言やUFOなどの超常現象を扱った漫画が連載されていたことをご存知でしょうか。平成の奇書にも負けずとも劣らない『MMR-マガジンミステリー調査班-』(以下、MMR)(作:石垣ゆうき)について見ていきましょう。
『MMR』は講談社の週刊少年マガジンで1990年から1999年まで連載された漫画です。物語は読者から送られてきたUFO体験の情報をもとに、真相を追求するチーム「MMRマガジンミステリー調査班」が結成されるところから始まります。
コミックス1巻では、読者が実際に目撃したというUFOの着陸跡らしき「ミステリーサークル」を題材に調査班が調査を進めます。しかし、途中で調査班の1人がUFOに攫われたり、UFOの飛行原理を研究している教授と出会いUFOが高速回転をして飛行していることを教わったりするなど、どこまでが本当でどこから演出なのかわからないような内容が描かれています。
当時中高生だった筆者は、その内容を疑うことなく本当に実在する話だと思って、毎週楽しみに読んでいた記憶があります。
さらにこの作品を有名にしたのがコミックス2巻から描かれた「ノストラダムスの大予言」に関するエピソードでしょう。このエピソード内で「1999年7番目の月に空から恐怖の大王が現れるであろう」とノストラダムスが予言したと描かれています。
『MMR』はこれを終末予言と表現し、もたらされる未来についての調査が始まります。ただ、この作品のなかで1999年に起こる事象は「核による最終戦争」「小惑星の激突」「人類滅亡病原体」などがMMR調査班の分析によって予想されたものの、特定はされていませんでした。
その後、本作の連載はノストラダムスの終末予言でいわれていた1999年7月を過ぎても続いていましたが、9月に発売されたマガジン1999年42号でついに最終回を迎えました。最終回では謎の組織の妨害により解散に追い込まれる『MMR』が描かれています。
当時の人気は高く、1996年にはフジテレビにて『木曜の怪談 MMR 未確認飛行物体』のタイトルでドラマ化もされました。
尚、本作の登場人物の1人で『MMR』のリーダー・キバヤシが人類滅亡のシナリオを解説するたびにメンバーが口にする「な、なんだってー!!」というセリフは、漫画ファンを中心に今でも語り継がれています。
本作の読者からは「高校生のころに読んで人類が滅亡すると本気で信じていた」「今読み直すと割と確信ついてる感じがする」などの声があがり、多くの人に影響を与えていたことがわかります。
本作を注意深く読んでみると「この物語は事実をもとにしたフィクションです」と目次の下の部分に書いてあります。実際、終末予言が当たることはありませんでした。しかし、ひとつひとつの要素は詳細には違えども、ウイルスの発生や戦争など似たようなことは現実で起きています。信じすぎるのもよくありませんが、全くフィクションだと言い切れないかもしれません。