「銀行株ってなんだか儲からなさそう…」こんな風に思っている人は多いでしょう。銀行株とはメガバンクや地方銀行など銀行業を営む企業の株式のことです。2024年現在、メガバンクを中心に店舗の統廃合が相次いでいます。店舗の縮小が続くと、銀行の経営は苦しいと思ってしまうのも無理はありません。しかし今、銀行株は投資家の間で大きく注目をされています。
そんな銀行株について、42歳の専業主婦・Aさんは興味深く調べていました。
配当の高い銘柄を調べていると…
Aさんは最近の株式投資ブームに乗って株式投資を始めたいと思っており、配当の高い銘柄に興味があるようです。Aさんが配当の高い銘柄に興味がある主な理由は2つあります。
1つ目は、定期的に配当金が入ってくるのは楽しいと感じるからです。Aさんは専業主婦なので、ご主人の給料で生活をしています。自分の通帳に定期的にお金が入ってくることは無いため、定期的に配当金が入ってくる高配当株投資に魅力を感じました。
2つ目は、子育てに忙しいため、毎日株価をチェックすることが難しいと感じているからです。デイトレードなど1日に何度も取引をする手法は自分には無理だと感じています。配当金狙いの投資であれば、長期で保有すれば良いため、自分でもできると思いました。
Aさん以外にもこのような理由で株式投資を始めたい方は多いのではないでしょうか。
Aさんはインターネットやマネー雑誌で、配当の高い株について調べてみると「銀行株が今は熱い」といった内容を目にしました。しかし、Aさんは銀行株に具体的なイメージや印象を持っていません。むしろ、近くの銀行の店舗が統合されるなど、銀行の経営は苦しいのではないかと漠然と思っています。確かに配当利回りは高いですが、銀行株に投資をして良いのか悩んでいます。
◇ ◇
Aさんの悩みについて、FPの鳥居佳織さんに聞いてみました。
銀行株投資のポイントは
――銀行株の配当について教えてください。
2024年2月2日時点の3大メガバンクの配当利回りをまとめました。
・三菱UFJフィナンシャルグループ:2.95%
・三井住友フィナンシャルグループ:3.54%
・みずほフィナンシャルグループ:3.72%
このように銀行株の配当は非常に高いため、配当狙いの投資をしたいAさんは検討しても良いのではないでしょうか。
――配当が高いのはわかりましたが、銀行は斜陽産業ともいわれているようで、今後の業績が不安です。
確かに、インターネットや雑誌などには、銀行員の仕事はAIに奪われるのではないかといった内容を見かけることがあります。また店舗の統廃合が続いているため、経営が苦しいと思われる方も多いでしょう。しかし、メガバンクの決算は非常に良いです。
3大メガバンクの2023年度の決算予想をまとめました。
・三菱UFJフィナンシャルグループ:1兆3000億円(22年3月期実績比16%増)
・三井住友フィナンシャルグループ:9200億円(同14%増)
・みずほフィナンシャルグループ:6400億円(同15%増)
さらに、国内金利が上昇すると見込まれており、金利の上昇も銀行の業績の追い風になります。なぜなら、金利が上昇すると、貸付の金利も高くなり、その分、銀行の利益が上がるからです。配当だけではなく、今後の値上がりも期待できるのではないでしょうか。
――銀行株への投資の注意点を教えてください。
銀行株への投資に限った話ではありませんが、投資を行う際は必ず「長期分散投資」を意識しましょう。短期間の株価を正確に読むのは誰にもできません。また短期間で大きく値下がりしてしまう可能性もあります。1つの銘柄に集中して投資をしてしまうと、その銘柄が大きく下落した際のダメージが大きいです。投資を行う際は必ず長期間使う予定がない資金で様々な銘柄に分散して投資をするようにしましょう。
◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。