炊き出しボランティアのマナーにあぜん…300食分を調理途中で放置、切りかけの食材、調理器具も洗わず 被災地からの訴えが話題に

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「私たちが炊き出しを行っている被災所の方々が困っていたので批判覚悟で投稿させて頂きます」

能登半島地震で被災地に訪れた炊き出しボランティアに対し「最低限のマナーを守ってほしい」と訴える投稿が、Instagramで話題になりました。

投稿したのは、石川県穴水町でキャンプ場やレンタルボートなどを運営する「かなみっ子」さん(@kanamihirochan)。かなみっ子さんによると、1月15日に穴水町外の避難所に支援のため足を運んだところ、前日に炊き出しにきたボランティア団体の中に、料理を作っていた最中、切りかけの野菜だけを残して帰る人や、使った調理器具を洗わずごみも放置したまま帰る人などがいたという報告を、避難所の人たちから受けたそうです。

「炊き出しをするなら片付けを自分たちで行うのが最低限のマナー」

県内の被災地の避難所は、高齢者が大半を占めるところが多く、さらに長引く避難所生活に疲弊している人たちばかり。作りかけの食材を料理したり、ごみなどを片付けたりできるような人手が足りない状況とのこと。かなみっ子さんは「甘えるなって意見もあるかもしれませんが、炊き出しをするなら片付けを自分たちで行うのが最低限のマナーだと思います。支援していただけるだけでありがたいですが、もう少しだけ配慮があるとうれしいです」と訴えています。

そんなボランティアを受け入れる避難所の状況を伝える投稿には、共感する人たちからたくさんのコメントが寄せられています。

「支援をするなら完全に、自己完結がルールです!」
「心配しないで声を上げてほしいです!支援とはいらん仕事を増やすのが目的ではないはず!」
「炎上覚悟と言われますが、貴方は全く間違って無いと思います。応援してます」
「被災者です。その通りです!自分達が生活するだけで精一杯なんです。自分達の後始末は自分達で!ボランティアでなくても当然の事ですよね」
「やってやってだからはボランティアじゃないですね。行政にちゃんと報告して改善させなきゃです」
「良く言った!ただ、気づかなかった人もいるかも知れない。これを見て気付き、改善が進むことを祈ります」

切りっぱなしの野菜はぐちゃぐちゃ、ごみも放置…疲弊する高齢者の多い避難所なのに

今回投稿しようと思い立った経緯をはじめ、被災地の状況やこれから支援のため被災地に訪れる予定のボランティアへのお願いなどを、かなみっ子さんに聞きました。

──炊き出しボランティアのマナーについて、投稿しようと思ったのは。

「穴水町外の避難所でお手伝いをしようと足を運んだ際、避難所の方から前日にきた炊き出しボランティアのマナーがひどかったと聞いたんです。中でも驚いたのが、切りかけの野菜など食材を置いていった上、300食分の食材を煮るなどして調理途中の状態のままにしていたこと。切りっぱなしの野菜はぐちゃぐちゃでしたし…調理途中の300食分のものを高齢者の多い避難所で調理し直すのは大変な作業。だから『これをどうにかしてくれないか』と相談がありました。炊き出しの支援をいただいても、これではいけないと思い、これから被災地へ足運んでくださるボランティアの方々へお願いの意味を込めて投稿しました」

──300食分の食材はどうなった?

「私たちが調理途中だった300食分を炊き直ししたんです。さらに周辺の避難所は50人から100人くらいいらっしゃるので、1カ所だけでは配り終わらず避難所を回って配りました」

──どうして途中で帰ってしまったのでしょうか。

「避難所の方によると、雪が降ってきたら帰ったとのこと。トラックで来てくださったのですが、雪が降ると困る状況というと、スタッドレスタイヤの完全装備や、十分なガソリンを積み込むなど準備をしていなかったのでしょうか…詳しい事情は分かりませんが、食材やごみを置いていったり、作りかけのまま帰られたりするのは被災者側として大変困惑します。被災地へ入る際は、自己完結できるよう準備をしていただきたかったです」

──作りかけの300食分を炊き直して配ったほか、野菜やごみなどの片付けもかなみっ子さんたちが対応した?

「はい。現地でお手伝いに動いている私たち有志が片付けました。調理器具も洗う際に準備したお水を使ってくださいと伝えていたようですが…洗わず放置されていて私たちが洗いました。避難所の方々は高齢者が多いですから、動ける人が少ないので私たちが行政と連携して各避難所のお手伝いをしています」

──せっかく支援いただいても、片付けなどを被災地の方々が請け負うとなると大変ですね。これからボランティアに来る方へメッセージをお願いします。

「これから一般のボランティアさんも増えてきます。残った野菜やごみを持って帰ってもらう、最後まで調理していただいて使った調理器具を洗ってもらうなど最低限のマナーを守ってもらいたい。できれば調理器具が足りない避難所もあるようなので、持参していただくとありがたいです。また足を運ぶ予定の避難所の人数を事前に把握し、人数分の食材を準備していただければ食材も無駄にならないかと思います。このほか、体調の悪い方は被災地へ入るのは控えていただき、入る際には感染症の対策もしっかりされていただければ幸いです」

   ◇  ◇

かなみっ子さんは、岩がきを素潜りで採って販売もしているとのこと。被災地で毎年行っていたイベントを復興に向けて、被災地外の会場を借りて計画しているそうです。

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