姿勢が悪くなると→「うわあーっ!」悲鳴をあげるアプリ 「これ欲しいw」AirPodsつけるだけで…アイデアすごい

太田 浩子 太田 浩子

 スマホやタブレットを見ていると、気がつかないうちに姿勢が悪くなっていてあわてて顔を上げることがあります。フリーランスのフロントエンジニアの君塚史高(@ki_230)さんも姿勢が悪いことが気になっていたため、技術を活かしたユニークなアプリを開発してXに投稿しました。

「AirPodsの回転角を監視して、悪い姿勢が続いた際に悲鳴が流れるiOSアプリをつくりました。名付けて『腰の悲鳴』です。」

 投稿には実際にアプリを使用した君塚さんの動画が添付されています。ワイヤレスイヤホンAirPodsを耳に装着した君塚さんの姿勢が悪くなると、横に置かれたスマホの画面が段階的に赤く変化。画面が真っ赤な状態が続くと、男性の声で「うわあーーーーっ!」と悲鳴が上がります。

「声出して笑ったw w w」
「めっちゃ気が散りますねw」
「姿勢矯正なかなかできないから、こういうのあったら便利だね。」
「個人的にニーズが大変高い」
「これ欲しいw」
「悲鳴がすごいので閲覧注意なんですけど、絶妙な悲鳴で何度も聞いちゃう。腰逝っちゃってる悲鳴なんですよ。絵が浮かぶ。」

 こんなコメントが寄せられ、シュールなアプリに笑いが起きつつ、欲しいという声が寄せられています。君塚さんにお話を聞きました。

──なぜ「腰の悲鳴」をつくろうと思われたのですか?

 10年以上前に大学院でラピッドプロトタイピングを学び、それ以降「思いついたものをすぐに作って試す」を心掛けているため、このアプリに限らず、思いついたものは普段から色々試作するようにしています。

(※ラピッドプロトタイピング:製品をつくるときに、迅速に試作品などをつくる手法のこと)

 なので、このアプリに関しても、いつものように作ろうと思った深い理由はないのですが、前々から課題だと思っていた己の姿勢の悪さを楽しく解決するアイデアとして、腰の悲鳴を具現化することを思いついたので試作してみました。

──悲鳴が切実ですが、君塚さんの悲鳴なのですか?

 アプリから再生している悲鳴はフリー素材です。当初は自分の声を録音して使おうと思っていたのですが、フリー素材の「うわあーーーっ!」に勝つ悲鳴を出せなかったのでフリー素材に頼りました。

 今は独立して1人で作業していますが、会社員時代は周囲の席の同僚に姿勢の悪さを毎日のように指摘されていて、なんとかせねばという思いは常に持っていました。集中して作業するとどんどん姿勢が悪くなっていくので、僕の腰は声にならない悲鳴を上げ続けていると思います。

──アプリを活用して、姿勢にお気をつけて…。

 はい。アプリを作ってからはいつも活用しています。普段からAirPodsで音楽を聴きながら作業しているので、導入の手間がほとんどないことが使い続けられている要因かなと思います。ただ、悲鳴を聞き飽きてきてしまったので、姿勢のログを取る機能を実装するなど、なにかもうひとつ機能を追加しても良いかなと思っています。

──なるほど、そうやって機能を追加したりしてアプリは完成されていくのですね。「AirPodsの回転角を監視」ということは、下を向くと警告されるという感じなのでしょうか。

 そうですね。下を向き続けると警告されます。AirPodsには加速度センサが内蔵されており、加速度センサの値は空間オーディオでの音場の制御などに使われています。そして、センサ値から、ピッチ、ロール、ヨーの取得が可能で、どの方向にどの程度傾いているかが取得できます。この値を監視して明らかな前傾姿勢が続いた際に悲鳴を再生するというのが動作原理です。

(※ピッチ、ロール、ヨー:前後方向の傾きがピッチ=y軸、横方向の傾きがロール=x軸、上から見て回転方向の傾きがヨー=z軸)

 この際、AirPodsの傾きだけでは、腰の傾きと首の傾きの合算しか取得できないので、どちらに負担がかかっているかは区別できません。つまり、実際に悲鳴をあげているのは、腰ではなく首の可能性もあるわけです。しかし、いずれにせよ姿勢が悪いことに変わりはないので、「悲鳴が聞こえたら姿勢を正す」という用途には活用できると判断して実装しました。

──欲しいという方も多くいらっしゃいました。

 ストアに公開する予定はありません。アプリをストアで公開するためには、アップルの審査を通過しないといけないのですが、過去に作ったアプリ(https://chibadge.kimizuka.fm)で審査が一向に通らないという経験をしているので、今回は初めからストアでの公開は諦め、完全に自分用として作りました。

 ◇ ◇

 ちなみに、iPhoneやiPadのスクリーンタイムの管理には、画面に顔が近づきすぎると離すように警告が出る「画面との距離」という機能があります。姿勢が悪いと教えてくれるような機能もあるといいですね。

■君塚史高さん
ウェブサイト: https://kimizuka.fm
X: https://twitter.com/ki_230

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