通勤電車から日本で唯一の「足湯列車」へ驚異の変貌!? 近鉄の観光列車「つどい」4年ぶり運行復活で注目

新田 浩之 新田 浩之

「電車の中で足湯を楽しむ」そんなウソのような電車が近鉄に存在します。それが「つどい」です。

かつてJR東日本には足湯付きの新幹線、山形新幹線「とれいんゆつばさ」が存在しましたが、2022年3月に引退しました。

その結果、現在では「つどい」が日本唯一の足湯列車として活躍しています。2023年12月13日に近鉄が実施した報道公開を利用し、湯の山線(近鉄四日市~湯の山温泉)で足湯列車「つどい」に乗車しました。

4年ぶりの足湯列車「つどい」、湯の山温泉へ向かう

近鉄では2023年12月16日から1月21日まで年末年始を除く土日祝に近鉄名古屋~湯の山温泉間で観光列車「つどい」を運行しています。2号車にヒノキ造りの足湯キット(4人用2台)を設置し、車内で足湯が楽しめる「足湯列車」として運行。「足湯列車」としての運行は実に4年ぶりです。

足湯は湯の山線沿線にある菰野温泉の源泉を使用。菰野温泉の泉質は「関西の奥座敷」として有名な湯の山温泉と類似し、筋肉痛・関節痛に効くとのことです。

筆者はタオルをもらい、10分ほど足湯を体験しました。水温は利用者の声を声を反映し、41度に設定。数分が経過すると、だんだん全身が温かくなり、最後には汗も出ました。

湯の山線はのんびりムードのローカル線。湯の山温泉駅が近づくにつれ、鈴鹿山脈が見ててきます。車窓を楽しみながら、心地よい揺れに身をまかせる足湯列車の旅はなかなか新鮮なものでした。

「つどい」には観光列車らしくバーカウンターがあり、地酒や湯の花せんべいなどの特産品を販売しています。つまり、足湯を楽しんだ後に日本酒が楽しめるというわけです。今回の運行は1月21日に終了しますが、近鉄によると今後も運行する予定です。

 乗車には乗車券の他に観光列車料金(大人510円、こども260円)が必要です。さらに足湯の利用には100円を要します。 観光列車料金は特急券発売窓口で払い、足湯の利用はバーカウンターで受け付けます。

足湯列車「つどい」はもともとロングシート車両だった

さて、「足湯列車」に利用された「つどい」は新しくつくった新造車ではなく、元ある車両を改造した改造車。しかも、ラッシュ時にバリバリ活躍した通勤電車からの改造です。

「つどい」は伊勢志摩地区の観光列車として2013年にデビューし、伊勢神宮や伊勢・鳥羽・志摩の魅力を表現したカラフルな塗装をまとっていました。2018年7月にリニューアルを実施。塗装はブラウンとクリーム色の組み合わせになり、シックな雰囲気となりました。

「つどい」になった車両は片側4扉のロングシート車両の2000系07編成です。2000系は1970年代後半に誕生した名古屋線向けの車両で、現在も名古屋線系統で活躍しています。車両の選定にあたっては南大阪線・吉野線系統を除く標準軌(1435mm)全線に入線できる、そしてトイレを有することが条件となりました。

改造工事は「つどい」の計画から約9カ月という短期間で実施しました。足湯キット以外にもハンモックを設置したこともあり、「つどい」は汎用性が高い観光電車ともいえます。

思えば、南大阪線・吉野線で活躍する観光特急「青の交響曲」も通勤電車からの改造です。通勤電車から観光電車への華麗な変身を得意とする近鉄。次はどんな観光電車が登場するのでしょうか。

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