【地震被災者が語る】「今必要なのは水と野菜」「まだ生き延びることに注力している段階」能登半島地震、被災住職に聞く現状

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 元日に最大震度7を観測した能登半島地震から1週間余りが経過した。石川県七尾市で地震に遭い現在も損傷した寺に暮らし続ける住職の男性に1月9日夜、オンラインでインタビューを行った。男性は近くで安否不明の住職がいることや生活用水の支援を訴えた。

 取材を受けてくれたのは七尾市中島町古江にある真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の寺院で安泉寺住職の國分大慶さん(60)だ。

 -能登は車社会の地域だと思います。ガソリンは供給されていますか。

 國分大慶さん (寺から約8キロ離れた)能登中島駅近くのガソリンスタンドが開いています。しかし1人2千円までの給油制限があります。

25キロの距離に1時間かかった

 -道路状況はどうですか。

 國分さん 段差や亀裂がたくさんあります。7日に約25キロ離れたJR七尾駅前にある「ミナ.クル」という施設に罹災(りさい)証明を取りに行きました。いつもなら車で40分くらいで着くのですが、道路の陥没や亀裂があってタイヤを傷めないように時速30~40キロで注意をしながらゆっくり走らないといけません。目的地まで1時間以上かかりました。さらに罹災証明の受け付けにも長い行列ができ2時間以上待ちました。

食事は、お供えしていた鏡餅

 -食事はどうされていますか?

 國分さん 私は8日に寺に戻ったので、お供えしていた鏡餅を食べています。避難所ではおにぎり、アルファ化米、即席麺、ツナや焼き鳥の缶詰などがあったので食べていました。

 -お寺の宗派である真宗大谷派の支援はどうですか?

 國分さん (宗派の出先機関の)能登教務所から職員がお見舞いに来てくれました。タオル3本と10メートル四方のブルーシートが配られました。寺で雨漏りしているところがあります。今はまだ雪や雨の日が続いているので、落ち着いたら大工さんにお願いしてブルーシートをかけてもらおうと思います。

 -能登半島は大谷派でいうと能登教区にあたります。教区の住職さんやご家族はみなさんご無事でしょうか?

 國分さん まだわからないです。安否不明者のリストに知っている住職の名前がありました。心配です。

 -僧侶として悩み事など相談を受けることはありますか?

 國分さん まだまだそこまでいっていないです。生き延びるというか、雨露をしのぐことに力を入れている段階です。

 -今、必要な支援は何ですか?

 國分さん 水ですね。洗濯もしたいし、風呂にも入りたいです。あとは野菜ですね。カロリーがあるものはあるんです。避難所には高齢者も多いので、ビタミンやミネラルを考えると青物の野菜が必要だと思います。

自分のところで地震…想像力を

 -全国のみなさんに伝えたいことは何かありますか?

 國分さん 自分のところで地震が起きたらどうするか。ちょっと想像力を働かせておいた方がいいと思います。

 -大変なときに取材を受けていただきありがとうございました。

 國分さん 地震のことばかり考えていると気持ちが…。なのでまた聞いてください。道路の補修が終わり、緊急車両優先が解除されて安全に一般車が入ることができるようになったら、ぜひ(被災地の)寺に来てください。

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