助けを求めているの? 近寄ってきたケンカ傷のある野良猫 重篤な病気が判明 保護主が出した苦渋の結論は

松田 義人 松田 義人

2023年10月、野良猫のTNR活動を行う団体、ねこ友会の会員さんが「右後ろ足の付け根に傷がある猫」を道端で発見しました。人間が近寄っても、動かないままで立ち上がる力がありません。千葉県我孫子市と茨城県取手市の堺にある古利根沼(ふるとねぬま)という沼のそばで保護したのでことねと名前がつきました。

8年前、ねこ友会代表がTNRしたさくら耳の猫でした。

この会員さんは、ことねちゃんにちゅーるを与えましたが、このまま放っておけばさらに体が弱ったり傷が悪化するかもしれません。その晩の天気予報は雨。保護すべきだろうと、そのまま連れて帰りました。

右後ろの付け根の傷はケンカ傷だった

保護時は夜間でしたので、まずは点滴で補液。翌日動物病院へ連れていきました。どうもケンカ傷のようで、野良猫として暮らしている間に、他の猫や他の動物から攻撃を受けた気配です。また、お腹にマンソン虫がいたこともわかり、下痢気味。黄疸があり貧血の数値も悪く入院治療をすることになりました。

「様々な病気の手術はリスクしかない」

その後ことねちゃんにはさらに様々な病気が見つかり、獣医師さんによれば、「これらの治療のために手術を行なったとしても、ことねちゃんにとってリスクしかない」とのこと。「もし、ことねちゃんが『我が家の飼い猫』だったとしても、手術を選ばず、残された時間を少しでも穏やかに過ごしてもらうようにする」とまで言ってくれました。

ことねちゃんは限りある時間を預かりボランティアさんの家で、穏やかに過ごしてもらうことになりました。

穏やかな猫生が1日でも長く続きますように

保護当時、抱き上げても威嚇することがなく、やはり人間が大好きな猫のようで、ねこ友会のスタッフや、預かりボランティアさんに甘えてきます。そのかわいい姿を前に、完全な治療をしてあげられなかったことを悔やみましたが、しかし、猫の保護活動の現場ではことねちゃんのようなケースも少なくないそうです。

「保護活動をしていると、『元気な姿にしてあげたい』と願っても、ときに叶わないことがあります。けれども、できる限りの寄り添ってあげたい。ことねちゃんが残された時間の中で人の愛情と温もりを感じて穏やかに過ごすことができれば何よりです。ことねちゃんを最初に発見してくれた会員さん、預かりボランティアさんには本当に感謝しています」(ねこ友会・スタッフ)

ことねちゃんは特に最初に保護してくれた会員さんには、まるで自分のお父さんかのように甘えてくるのだそうです。ことねちゃんにとって限りある穏やかな猫生が、これから先1日でも長く続いてくれることを願うばかりです。

ねこ友会
https://nekotomokai.amebaownd.com/

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