岐阜県関市は、日本屈指の刃物の産地として知られています。鎌倉時代末期に良質な土、水、炭が発見され、それらを使った日本刀づくりが始まったのがきっかけで、今日に至るまで包丁を筆頭に、ハサミ、カッターナイフ、爪切りといった、ありとあらゆる「切れるもの」を生産。その名は世界にも知られ、イギリスのシェフィールド、ドイツのゾーリンゲン、そして日本の関市が「世界三大刃物産地」と呼ばれています。
関市界隈では、誇り高き地場産業にちなんで、近年「日本刀アイス」なる商品を販売。新名物として東海エリアで注目を浴びているとのこと。関市で「日本刀アイス」を食べてみました。
刃物へのこだわりは「日本刀アイス」にも
日本刀アイスは地元商店で限定販売されていますが、筆者は関市のランドマーク的な存在でもある「関刃物ミュージアム」に訪れ食べることにしました。
高賀の森水を使用し、老舗の地元の和菓子屋が手掛けた日本刀アイス。地元の刀匠・二十六代藤原兼房が監修し、造形にもこだわっています。地元の関善光寺で「良縁祈願」も行ったもので、「縁がキレない」願いもしっかり込めているそうです。
誇り高き伝統とこだわりがアイスクリームにもしっかり継承されており、価格は1本税込1280円。なかなか鋭利な値付けにも感じます。
キレのある味わいの「日本刀アイス」
関刃物ミュージアムで日本刀アイス(洞戸のキウイ)を実食。シャリシャリのシャーベットテイストはキレがあり、実に美味。長細い刀身状の造形であっても、シャーベットが溶けたり落ちたりしにくいのも素晴らしいです。アイスの中に芯状のものが入っており、アイスが落ちないよう支えているからですが、これも日本刀の曲線に合わせて作られていました。
柄の部分は食後に持ち帰れる仕組みで、関市の記念として持っておくことができます。
高校生のアイデアを、地元の人たちが連携して商品化
関市のものづくりのこだわりが反映された誇り高き一品である日本刀アイス。「日本刀アイスを作る会」副会長の吉田宰志さんによれば「考案したのは地元高校生」だったと言います。
「日本刀アイスは、関商工会議所・青年部の『Jr.BPC(ジュニアビジネスプランコンテスト)』のビジネスプランの一つとして高校生が発想したもので、その自由な発想と熱い思いをを知った地元のものづくりを牽引する企業が、商品化に向けて名乗りを上げました。
実現に向けた動きは地元でどんどん広がり、和菓子職人をはじめ様々な分野のプロフェッショナルたちが協力してできた一品です。ここまでの地元の人たちの連携も実に熱いものでした。そして結果的に、『新名物の理想』的なものになりました」(吉田さん)
日本刀アイスは、関市内の各店で購入できます。東海エリア散策の際には、この日本刀アイスを食べに関市を訪れてみてください。こだわり抜かれた味を楽しみつつ、関市の人たちの熱い思いと矜持を感じることができることでしょう。
「日本刀アイス」公式サイト
https://katanaice.com/