食料品を買った際、賞味期限を確認するために成分表を見ると、「賞味期限:箱の側面に記載」。「…そのスペースがあるならそこに書いてくれたら」と思いながら商品をくるくる回して記載を探す。これ、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。
SNSでも話題になっており、「めちゃくちゃわかる」「なんでだろうっていつも思ってた」「あるある」と、同じ疑問を持つ人が続出。SNSではバターが例に挙げられていたので数社の商品を購入して比較したところ、どれもこの表記でした。一体なぜなんでしょうか、「雪印北海道バター」を製造する雪印メグミルクに話を聞きました。
印字装置の制約がネックに
ーーなぜ「側面に記載」の場所に賞味期限を印字しないのでしょうか。
「賞味期限は、食品表示法で表示が義務付けられている項目で、表示方法も決められています。表示を義務付けられている項目は一括して(まとめて)表示するのですが、賞味期限は表示する場所を表示すれば、他の場所に表示することが可能となっています」
ーー表示する場所を表示=「箱の~~に記載」という部分ですね。
「賞味期限を一括表示とは他の場所に表示している理由は、印字装置の制約によるものです。印字装置が確実に、他の情報をつぶすことなく印字するためにはある程度のスペースが必要となります※。商品のサイズや記載する情報量により、一括表示の賞味期限を表示するスペースは限られてしまうため、一括表示の欄外に印字するパターンが多くなっています。
※賞味期限は、他の項目と違い、製造時に工場の製造ラインで印字しています。高速で流れている商品に瞬間的に印字する技術になりますが、微妙にずれることもありますので、印字スペースには多少の余白が必要となります」
中身(バター)の製造ラインで外箱に賞味期限を後から印字→文字が密集する箱の裏側に印字してほかの文字をつぶしてしまうことを避けるため、食品表示法に則って箱の裏側には賞味期限を表示する場所を表示している、ということです。外箱は中身とは別工程で作られているようですね。
関係部署の方に共有してくれました
ーーバター以外の商品でも同様の印字ですか?
「チーズやヨーグルトで同様の方法で表示しています。一方、当社の『ピザソース』や『北海道練乳』などは印字スペースが十分にあるため、一括表示内に表示しています」
ーー今後、賞味期限の印字が裏側(成分表内)になる可能性はありますか。
「食品表示法で決められたルールと印字装置の制約があるため、印字箇所を変更することは難しいと考えます…」
ーー今回のような声はこれまで届いていましたか?また、反響を知っていかがでしょうか。
「弊社お客様センターに確認しましたが、現在のところ、同様のお問い合わせはいただいておりません。
反響につきましては、『賞味期限:~~に記載』と表示しているところに賞味期限を表示すればいいのに、というご意見に、改めて『なるほど』と思いました。同時にそうできない理由もしっかり知ることになり勉強になりました。
商品のパッケージに関しましては、法律を遵守することはもちろんですが、表示の分かり易さや読みやすさ、開けやすさなど、お客様の利便性を追求しております。大変ありがたいことに、お客様センターにいただいた貴重なご意見を商品開発に活かすこともしばしばでございます。予想しなかったご意見をいただくこともあり、『目から鱗』と感じています。今回いただいたご意見も関係部署と共有させていただきました」
◇ ◇
「賞味期限:箱の側面に記載」の謎がようやく解けました。製造ラインや食品を扱う仕事の人以外はなかなか知りえない情報ではないでしょうか。
その事情を知ったいまなら、今後の「裏に書いてくれたらいいのに…」というモヤッと感も少し軽減されそうですね。