今年4月にAKB48を卒業した岡田奈々さん(26)が、ソロアーティストとして本格始動している。誕生日の11月7日に発売されたデビューアルバム「Asymmetry(アシンメトリー)」では、自身の二面性をイメージして全曲作詞に挑戦。リード曲「裏切りの優等生」には、「真面目な子と思われて 本当の真実 言いたいのに」と周りの評価と現実のギャップに苦しむ葛藤が赤裸々に綴られている。新たなスタートを切ったからこそ話せるアイドル時代の自分、週刊誌による熱愛報道などを振り返りながら、「今」を語った。
柏木由紀さんの教え
2012年のオーデイションに合格して、14歳でAKB48に加入した岡田さん。ストイックに頑張ることが好きで、いつしかメンバーから「真面目」と言われ、風紀委員を称するように。18年に初センターに抜擢されると、家のカーテンを開ける時間もないほど仕事に追われた。ミュージカルの稽古後、夜に新曲のレッスンがあったり、歌番組が続く中で合間に稽古に参加したり…。「この仕事が終わっても次があって、次が終わっても明日もあって。大変で、お酒を飲みながら号泣していた時期もありました。目を腫らしたまま歌番組に出たこともありましたね」と振り返る。
それでも、人前では笑顔を保った。「柏木由紀さんに声を高くするだけでいい子だと思われるよっていう教えがあって(笑)どれだけ体調が悪くても、『(高い声で)おはようございます、おはようございます』っていうだけで元気に見えるよって!今もその教えは胸に刻んでやっています」
言葉のブーメラン
しかし昨年11月、週刊誌で熱愛が報道された―。
掘り起こされたのが、17年の選抜総選挙で、スキャンダルやおふざけをネタに順位を上げるメンバーを批判した言葉だ。「自分は真面目にやっていてもいつか必ずAKB48のてっぺんを取れると思っています。真っ直ぐに頑張っている人が報われるように、グループを変えていきたい」。それが仇となり、「裏切り者」「嘘つき」とバッシングを受けた。
「当時は、本当にそう思っていたんです。嘘をついたとか、良い子ぶっている訳じゃなくて。考え方は変わっていくし、言葉にしていなかった自分が悪いんですけど。AKBのためにと思って活動してきたけど、気付いたら、自分のために変わっちゃっていたのかな…。自分でも分からない部分もあって。言葉のブーメランをくらってしまいましたね」。気持ちは携帯のメモに残し、あえて歌詞にしたためた。「人生のターニングポイントだったと思うので、なかったことにはしたくない。受け止めて進んでいくしかないので」
エゴサーチをやめたワケ
アルバムでは、「裏切りの優等生」「ネット弁慶の皆様」といったバッシングを受けたからこそ書ける曲のほか、AKB時代のお料理選抜「たこやき部」にちなんだ「TAKOYAKI ROCK」など13曲を収録している。つらい時期に支えてくれたAKB48の親友・村山彩希に聞いてもらうと、「なぁちゃんの声を聴いていると、涙が出る」と喜んでくれたという。
ソロになって、生活の変化もあった。家のカーテンを開けて景色を楽しむ時間ができた。トイプードルも飼い始め、ワンちゃんとの会話が増えた。アイドル時代に周りの目を気にしてやっていたエゴサーチもやめた。お酒も飲まなくなった。「我が道を行くって決めたからには、いろんな人の言葉に左右されて自分の道を見失いたくなって思っていて。エゴサーチをして批判的な声を見たとしても、そういう人もいるんだな、と留めておけるようになりました」
今の目標は、武道館でライブ、そして次のアルバムを出すことだ。「今は明るい気持ちになることが多いので、もしかしたら、急に生きるのが楽しい人みたいな曲ができるかもしれないです(笑)明るい曲を出したいです、今度こそ」
来年2月から全国6カ所でツアーも開催。岡田奈々ワールド全開で走り切る。