猫風邪の後遺症で声がかからない猫
アオくん（2歳・オス）は、山口県で保護された。手を骨折し、猫かぜをこじらせていたという。治療後、大阪で保護活動をする「winハウス」がアオくんの里親探しをすることに。猫風邪の後遺症で片目が眼球破裂していたこともあってか、なかなか声はかからなかった。触れ合いたいという人さえいなかった。
大阪府在住の藤園さんは、2023年9月に開催された譲渡会でアオくんを見かけた。老猫を1匹飼っていたが、もう1匹迎えられる環境だったこともあり、テレビやネットで目にする保護猫に関心を持っていたという。1ヶ月考えた末、翌月にふたたび譲渡会に行きトライアル申請。11月上旬からトライアルを開始した。
「すでに老猫がいることもあり、比較的他の猫ともうまく距離を取れる子を希望していました。そんな時にアオくんに出会ったのです。大人しいけれどあまりオドオドもしておらず、物怖じはしなさそうという印象でした」
初日はずっと小声で鳴いていたというアオくん。老猫も唸っていたため、藤園さんも不安だったという。ほどなくしてアオくんは落ち着き、翌日以降は「ケージから出してくれ！」と要求するほど慣れた様子だった。11月23日、アオくんを正式譲渡してもらった。
この子に幸福が降り注ぎますように
「アオ」には、ハワイの言葉で「夜明け」「幸福が降り注ぐ」という意味がある。片目が見えず、慢性鼻炎もあるが、たくさんの人の手で守られてきた命。「これからもこの子に幸福が降り注ぎますように」という思いを込めて名付けた。「あと…アォーンと鳴くことが多いから、という理由も少しあります（笑）」
譲渡会ではあまり活発ではない印象だったが、家に慣れたら毎日走り回り、先輩シニア猫にも「やんのかステップ」で挑んでウザがられ、不貞腐れてまた走り去っていく…そんな毎日だという。
「引き取り当初は先住猫が同性でシニアであることもあり、うまく付き合えるか心配していました。でも最近は若い子の動きを見て触発されたのか、今まで上がらなかったキッチンに登り2匹でイタズラするようになりました。嬉しく、面白く、騒がしい日々になりました」と藤園さんはほほえむ。
家庭も明るくなったと感じる。「老猫も変わりなく過ごせていますし、今まで静かだったところに若く活発な子が来たことで、イタズラするほど明るくなったように思います。私自身も猫たちに話しかけることが増え、気持ちが明るくなりました」
