2023年、保護された1匹の野犬がいました。名前はラーク。推定6歳ほどのメスの中型犬で、真っ白な短い毛が特徴です。やや人見知りの一面がありますが、元野犬に多い人間に対する強い警戒心はそれほどなく、穏やかで落ち着いた性格でした。
後ろ脚に飾り毛と後脚に5本、6本の指を持つラーク
ラークを保護したのは広島県を拠点にワンコの保護活動を行う団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。同団体ではこれまでに数多くの犬の命を救い世話してきました。穏やかなラークは人馴れトレーニングもいち早くクリアし、人間の歩調に合わせてきちんと歩くことができました。
ラークには、後ろ脚にチョロンと生えた飾り毛のようなものがあり、この毛をふわふわと揺らしながら歩く姿がなんともかわいらしく、ピースワンコのスタッフもおおいに癒されたと言います。
ラークには秘密がありました。それは後ろ脚に5本目の指、6本目の指があるということ。本来のワンコの後脚の指は4本なのですが、ラークはこのように脚に特徴がありました。スタッフは「古代ワンコの血が色濃く流れているように思う」と言いますが、実際のところはどうなのでしょうか。
車の音への警戒心と食べ物の固執
お利口さんでどこか優雅な印象さえ覚えるラークですが、苦手なこともありました。それは車の音でした。
「ブォーン!」という車の音を聞くと、怖さから固まってしまうことがありましたが、おそらくはそれまでに過ごしていた環境では、こういった音を聞くことがなかったからでしょう。
食べ物に対する警戒心もやや強い傾向がありました。これも野犬時代に他のワンコに食べ物を取られまいと過ごしてきた経験からくるものでしょうが、それ以外は特に問題のない性格。スタッフは「里親さんとのマッチングもそうは時間がかからないだろう」と考えていました。
似顔絵を描くほどかわいがってくれる優しい里親さん
スタッフの予感は見事的中し、里親募集が始まってから程なくして「迎え入れたい」という里親希望者さん家族が現れました。里親さんはラークに一目惚れし、何度も何度も「かわいい! かわいい!」と言葉をかけました。その言葉を前に、少々照れ気味の様子のラークでしたが、見事この優しい里親さんの元で、第二の幸せな犬生を歩むことに決まりました。
譲渡後、里親さんがピースワンコに自身が描いたラークの似顔絵を送ってくれました。これを見れば、ラークが日々どれだけ里親さんに愛されているかが伝わってきます。
ワンコを心から大切にし、それぞれの性格に合った形でその愛を伝え続けていれば、どんなバックボーンを持つワンコでもいつか必ず心を開いてくれ、懐いてくれることでしょう。
ラークのような幸せを掴む保護犬が1匹でも多く増えるよう、ピースワンコは今後も活動を続けていきます。
ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/