認知症で寝たきりの犬を殺処分から救い出せ! 2週間のケアで自力で歩けるようになり、穏やかな表情取り戻す

渡辺 陽 渡辺 陽

殺処分が決まっている

コタロウくんは、とある高齢者が飼っていたが、その人が入院することになり、保健所に連れて来られて収容された。

ネコリパブリック首相あさかさん(@els4gat)たちは、週に一度、殺処分予定の猫がいないか確認の電話をして、殺処分対象の猫がいたら引き出しに行っている。猫を迎えに行くとコタロウくんがいたという。

「コタロウは、冷たいコンクリートの床の上に横たわっていました。気になって保健所の職員さんに聞くと、『認知症と寝たきりのため、今週中に殺処分することが決まっている』とのことでした。そこで、急遽引き出しをしようということになりました」

コタロウを引き出そう!

職員はあさかさんに、「睾丸あたりも真っ赤で、おそらく腫瘍があるだろう。血便や血尿も出ているので、もう長くない」と告げた。

横たわり、微動だにしないコタロウくんの姿を見て、あさかさんたちは、「最期が殺処分だなんて悲しすぎる」と思った。

「自分たちで看取ってあげられないか、とスタッフみんなで話し合いました。現在、クラウドファンディングに挑戦している『ちびびの森シェルター』には、ひろい玄関があり、そこにマットを敷いてあげたらコタロウのお世話もできる!!コタロウを引き出そう!とみんなで決意しました」

普段、ネコリパブリックでは、主に猫の保護活動を行っているが、たまに“イヌリパ”を発動することもある。これまで何匹ものワンコたちを救い出し、新しい飼い主さんに繋げることも密かにしてきたという。

「ボランティアさんの中でもワンコの介護をしていた方もおり、満場一致でコタロウをネコリパの子にする!と決めたのです」

薬漬けにされていた

コタロウくんは、夜鳴きが激しいとのことで、高齢の飼い主さんによって安定剤や睡眠剤などで薬漬けにされていた。

レスキュー後、ちびびの森シェルターの玄関に連れて来られたコタロウくん。実は、腫れていた睾丸は、尿やけで赤く腫れ上がっていただけだった。

さらに、血便血尿と思われていたものは、その腫れた睾丸からでていた血液だった。次亜塩素酸水で毎日消毒し、お薬を塗ると、みるみるきれいになり、腫れも引いてきた。

「夜鳴きと思われていたのですが、全然そんなに鳴きません。つまり、痛い!!痛いよ!!と訴えていたのだと思います」

穏やかな顔になったコタロウくん

コタロウくんは太りすぎて動けない状態で、立ち上がることもできなかったが、健康的なフードを規定量あげることで、体重も落ちてきて、自ら寝返りが打てるようになった。

「お腹にタオルを入れて立ち上がるサポートをすると、お外に行きたがり、お外でおしっこやうんこができるようになりました。ワンワンと鳴いていたのは、お外でおしっこしたいよ!!と訴えていたのもあるかもしれません」

レスキューされて2週間経ったコタロウくんは、ちゃんと自分で起き上がることができるようになった。下半身を補助すれば自力で歩くこともできる。

「もうちょっと体重が落ちて、後ろ脚にも力が入るようになれば、お散歩もできるかも!!私たちがもし引き出さなければ、コタロウのこんな穏やかな顔を見ることができなかったのだと思うと、本当に引き出してよかったと心から思いました」

あさかさんによると、現在、保健所に持ち込まれる犬や猫は、高齢者による飼育放棄が非常に多いという。個人情報保護の観点から持ち込みの理由はオープンにされないことが多いが、ネコリパでは実態を解明するために統計を取り始めている。

現在、ネコリパブリックでは、殺処分される保護猫の保護&看取りシェルター「ちびびの森」をリフォームするためのクラウドファウンディングに挑戦している。11月30日23時59分まで。一口2222円から支援が可能。

https://rescuex.jp/project/92007

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