猫の夜鳴きは、初めて猫と暮らす人を悩ますものの一つ。特に子猫のころは生活リズムが人間と合わず、人間が寝静まると遊んでもらえない欲求不満から夜鳴きを行うとのこと。
大阪府で暮らすサムくん(現在1歳)も夜鳴きが酷い猫の1匹。譲渡型保護猫カフェ「チェリッシュ」で暮らしていたころから、お客さんがいない深夜は「アオーンアオーン」と鳴いていました。
猫を迎えるための勉強
そのサムくんを家族に迎えたいと申し出てくれたのが、大阪府のM家の長女Rちゃんです。小学2年生だった2022年5月からチェリッシュが運営する小学生向けサービス「にゃん子屋」に通っており、そこでサムくんと仲良しに。いつしか一緒に暮らしたいと願うようになったのです。
でも、両親がダメと言ったならあきらめなくてはなりません。動物を迎えるということは、命に責任を持つこと。それもにゃん子屋で教えてもらっていたからです。どうすれば両親から許可が貰えるか…。Rちゃんはスタッフに相談をしました。
スタッフからのアドバイスは、Rちゃん自身がキチンとお世話ができるようになること。そこでRちゃんは、にゃん子屋のみんなが嫌がるトイレ掃除をすすんでやるようになりました。排泄物の処理だけでなく、飛び散ったトイレ砂の片づけも。
着々と猫のお世話スキルを磨き、自信をもって「猫のお世話ができる」と胸を張れるようになったRちゃん。これで両親にお願いができると思ったのですが、スタッフには心配ごとがありました。それはサムくんの「夜鳴き」です。
夜鳴き対策
当時、サムくんは生後半年ほど。本当に夜鳴きが酷かった。チェリッシュで沢山の猫と過ごしているのにこれですから、1匹だけで過ごすことになったら大ごとになるのは目に見えています。できれば1匹だけでなく、2匹以上で迎えてほしい。
しかし、Rちゃんの家族は今まで猫はおろか動物と暮らした経験がありません。かろうじてお父さんだけが、20年ほど前まで犬と暮らしていたぐらい。そんなご家庭が2匹以上、迎える決断を下してくれるだろうか。
一方、Rちゃんからサムくんを迎えたいと聞いたお父さんも悩みました。共働き世帯で、日中は家から誰もいなくなるからです。それに、どんな世話をすれば良いのか分かりません。Rちゃんが世話をするといっても、小学生が数カ月学んだだけで、本当に出来るものなのかと。
そこで両親とスタッフは話し合いをしました。両親が抱く不安とスタッフの持つ懸念を出し合い、どうすればRちゃとサムくんがベストな状態になるか。実はRちゃんにはお兄ちゃんがいて、動物が少し苦手です。彼のことも考えなくてはなりません。
サムくんのパートナーは?
そうこうしているうちにサムくんはどんどん人馴れしていき、お客さんから「かわいい」と言ってもらえるように。新しい家族が見つかるのも時間の問題でした。先に申し込みがあったなら、そこの家の猫になってしまいます。
そこでM家がとった手段は「仮申し込み」。サムくんは必ず迎えるので、一緒に迎える猫を選ぶ時間がほしいとチェリッシュにお願いをしました。2022年9月のことです。Rちゃんは大喜び!今まで以上に猫のお世話を学んでいきます。
当のサムくんは、やっぱり夜鳴きがおさまりません。夜になると、アオーンアオーン。でも、月齢が1カ月ほど若いキセちゃんがチェリッシュで過ごすようになってからは、少し夜鳴きが減ったんです。可愛い女の子の前で、寂しがっている姿を見せたくなかったのかもしれません。
キセちゃんと一緒なら、サムくんは大丈夫かもしれない。そう思ったM家は、2022年12月に2匹同時にトライアルを申し込みました。お迎え準備が整った1月に、2匹はお引越し。リビングの隣にある和室が、2匹の新しい部屋になりました。
子どもが2人増えた感じ
念願の猫がいる生活に、Rちゃんは張り切ります。ご飯をあげたり遊んであげたりといった分かりやすいお世話だけでなく、お母さんにいわれなくてもトイレ掃除も行います。サムくんはチェリッシュにいたころより甘えん坊になり、Rちゃんにべったり。Rちゃんがいない時はキセちゃんにべったり。
日中、家に誰もいない時は和室だけでサムくんとキセちゃんは過ごすのですが、大きな問題はありませんでした。これならずっとやっていけると判断し、トライアルを終了して正式譲渡となりました。
初めて猫と暮らすことになったお父さんは、今ではこう感じているのだそう。
「子どもが2人、増えた感じですね。言うことをきかない、自由な子たち」
Rちゃんはもっと猫のことが知りたいと、にゃん子屋で学ぶだけでなく本を読んだりインターネットで調べたり。サムくんとキセちゃんが快適に過ごせる方法を探します。
動物が怖かったお兄ちゃんも、今ではサムくんとキセちゃんなら撫でられるように。サムくんとキセちゃんも、お兄ちゃんはぐいぐい来ないから一緒にいて快適みたい。
問題の夜鳴きは?
さて、問題のサムくんの夜鳴きですが、人間の寝室と分けているため気にならないのだそう。サムくんも分かっていますから、人間を呼ぼうとはしません。「ワンチャンあるかなぁ?」と思う時だけの必殺技になっています。
それに今は、M家が始めた預かりボランティアで来ているパンちゃんもいます。しっかりしたお兄ちゃんらしい姿を見せなくてはなりません。その分、Rちゃんと一緒の時は思う存分甘えるんです。お喋りもするんですよ。
真剣に悩み、相談を重ねたからこそ、得られた穏やかな時間。猫の夜鳴きに悩んでおられる方は、最寄りの保護猫カフェや保護猫団体に相談してみるのも良いかもしれませんね。
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【一般社団法人AnimalProtect「譲渡型保護猫カフェ チェリッシュ」】
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