賢いというのは、気難しく扱いづらいということ
1歳半になるコーイケル・ホンディエの男の子、ニーチェくんと暮らすデさんは、「コイケルは素晴らしい犬ですが、飼うには覚悟が必要な犬です」と語る。
「コイケルの魅力はその美しく犬らしい外見だと、多くの方が答えるのではないでしょうか。私も初めてコイケルを知った時は、恋に落ちたような衝撃を受けました。表情や感情が豊かで、まるで人間のようなユーモアと愛嬌を持っています。運動神経はボーダーコリーに匹敵するほど抜群で、知能も高く、教えたことはすぐに理解します。愛犬のニーチェはお迎え当日にオスワリ、オテを覚えました。飼い主と一緒に遊ぶことが何よりの生きがいなので、犬と一緒にスポーツをしたり、遠くに出かけたりすることが好きな人には理想の犬種です。トリミングの必要がないのも長所かもしれません。そこまでこまめなグルーミングも必要ないので、お手入れは楽です。
ただ、賢いというのは、気難しさや扱いづらさにも繋がります。本気で向き合わないとすぐに気持ちを見抜かれ、飼い主は信用を失います。また、繊細で警戒心が強く、コイケル飼いの中では『ビビケル』という言葉が使われるほど、ビビりな面があります。社会化やしつけが上手くいかなければ、噛み犬になる可能性もあります。無駄吠えは少ないものの、猟犬なので声は非常に大きいです!運動量が必要なので毎日1~2時間の散歩、週末はドッグランなど、アクティブな遊びを取り入れる必要があります」(デさん)
「コイケル」は愛玩犬ではない
利口で運動能力に優れたコイケルの特徴について、「ボーダーコリーと柴犬の両方の特色を持っているような気がします」と、デさん。どちらも大人気の犬種だが、「想像していたのと違う」といった理由で飼育放棄されることが多い犬種でもある。
「我が家のニーチェは、よく食べよく遊び、よく寝る健康優良児です。性格は、飼い主である私への愛が強く、他の人にはあまり懐きません。警戒心も比較的強めで、ビビりで初めてのことに弱く、キャパが狭め。非常に賢く繊細で、飼い主の表情の変化を一瞬で読み取るエスパー。私にはべったりで甘えん坊なので、いつもストーカーの如く後ろからついてきます、愛が重いです…(笑)。
こんな風に、コイケルは優秀な家庭犬になる素質を十分に持っていますが、愛玩犬ではありません。犬を飼うことに慣れていない方は、トレーナーさんの指導が必要かと思います」(デさん)
大谷選手がきっかけとなった突然の「コイケル」フィーバーについて、「犬は根気と時間と愛情を特に必要とする大変な動物。失敗すれば、歩く凶器にもなる」と、デさんは警鐘を鳴らす。
「この世に素晴らしくない犬などいない、と個人的には思っています。犬が大好きな方、今まで犬に愛情をかけてこられた方であれば、コイケルに限らず、きっとどんな犬とも最高のドッグライフを送れるのではないかと思います。反対に、大谷さんが好きだから同じ犬種を飼いたい、という理由でコイケルを飼うことを思いついた方は、コイケルだけでなく、どんな動物も飼わないでいただきたい…というのが本音です。動物を飼うことは長年の責任が伴います。中でも犬は特に、根気と時間と愛情を必要とする大変な動物です。失敗すれば歩く凶器にもなるのです。たとえお迎えした子がどんな性格でも愛する覚悟があるのなら、コイケルだろうとなんだろうと、きっと犬も人も幸せになれるのではないかと思います」(デさん)