2023年上半期で最も売れたというダイエット本。累計発行部数は10万部。昨今の出版状況を鑑みれば、異例の大ヒットといえるでしょう。『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』栗原毅・著（日本文芸社）です。
タイトルとカバーに掲げられた数々の「ラクやせ」メソッドの通り、従来のダイエット術よりも極めて楽に、勝手に痩せられるとあり、ダイエットを志す人にとっては、精神面でも気持ちを楽にさせてくれる一冊です。
「やせ体質」にならない原因は「脂肪肝」
本書は、ダイエット志願者からよく聞く「がんばっているのにやせない」といった話に対する、明確なアンサーから始まります。
様々なダイエットをしても一向にやせる気配がなかった人に多いのは、「やせない原因」を取り除けていなかったからだとし、そして、ちょっとした生活習慣の改善で、根本から「やせ体質」に変えることができるとも紹介しています。
「ダイエットしても効果が感じられない」「すぐにリバウンドしてしまう」という問題の原因は、本書でいうところの「やせスイッチ」がオンになっていないからだといいます。そして、その「やせスイッチ」がオンにならなかった理由は、肝臓に脂肪がたまった「肝脂肪」が原因だとも。
人間がやせるために必要な代謝機能をつかさどるのが肝臓ですが、そこに脂肪がたっぷり付いた脂肪肝になると、肝臓の機能が半減。結果的に糖などを脂肪として溜め込みやすい体になってしまうのだそう。そして、実は日本人の約3人に1人が脂肪肝だと言われ、性別や年齢に関係なく、意外となりやすいものだとも解説しています。
お腹の肉をつまめるかどうかでわかる脂肪の種類
ただし、そもそも脂肪には大別して二つの種類があるとも言い、それによって「やせスイッチ」が入るタイミングが異なるとも。この二つの脂肪の種類の判別法はザックリ「お腹のお肉を指でつまめるかどうか」です。
「つまめる」場合は「皮下脂肪型」。「つまめない」場合は「内臓脂肪型」。この二つに対し、本書では以下のように解説しています。
「皮下脂肪型」
女性に多く見られ、指でつまめるのが特徴。皮膚の下につく脂肪なので、内臓に影響がなく比較的危険度は低い脂肪です。ただし、一度ついてしまうと落としにくいので要注意。
「内臓脂肪型」
一般に男性に多く、指つまむことができません。内臓の周囲につく脂肪のため、このタイプの人は脂肪肝の可能性も高くなります。比較的落としやすい脂肪でもあります。
皮下脂肪の場合はダイエットを実践する難易度が高めで、内臓脂肪の場合は、比較的簡単にやせることができるというわけです。
高カカオチョコレートを食べればやせる説
さらに本書では、「やせスイッチの入れ方」や注意点を紹介していますが、これが意外にもかなり簡単ですぐにできるものばかり。例えば以下のようなものです。
・やせたいならまずはしっかり歯を磨こう
・高カカオチョコレートで脂肪を減らす
・やせるならカロリー計算はやめるべし
・糖質のかわりにたんぱく質をとろう
・ゆっくり食べれば早くやせる
・食べる順番を変えるだけでやせる食事に
・フルーツは劇的に太りやすい
・野菜ジュースやスポーツドリンクも危険
・激しい運動は必要なし
・自律神経を整えればやせ体質に
従来のダイエットメソッドは真逆のものも多数解説されているほか、日常的に取り入れやすいものばかりが紹介されており、目からウロコの連続です。厳しくつらいダイエット習慣を自分に強いるのではなく、ダイエットに適した正しい生活習慣さえおくることで、1週間ほどで「勝手にやせていく」体質になると本書では細部にわたって言及しています。
担当編集者も出版前までに約3kgの減量を実現
著者の栗原毅さんは内臓脂肪の名医として知られており、「血液サラサラ」といった表現を命名したひとりとしても知られています。このことからも、とかく難解な「体のこと」を、わかりやすく紹介しているのも本書の魅力で、1ページずつ読み進めるだけで、「やせられそう」に思える点も良いなと思いました。
聞けば、担当編集者も本書の制作中、著者が紹介した「簡単ならくやせ術」を実践したところ、出版前に約3kgの減量に成功したとのこと。
「『脂肪肝になるとやせにくくなる』という著者の話を聞き、脂肪肝の改善法の本を作ろうと思いました。その上で誰でもできる程度の期間として"１週間"で改善できないかと思い、企画しました。とにかく内容は誰でも取り組みやすいように"簡単なプログラム化する"ということを意識しました。また、制作中に本書のメソッドである高カカオチョコレートを食事前に食べたり、濃い緑茶を飲んだり意識した結果、出版前に約3kgの減量に成功できました」
日本に約3000万人いるとも言われる「脂肪肝」。その状態を改善することで、やせる代謝力をアップし、勝手にやせていく体になるという新しいメソッドを本書では紹介しています。やせる食事法や運動をしてもなかなかやせない、という方にぜひ手に取ってほしい一冊です。
