今週放送された『ブギウギ』(NHK総合)第7週「義理と恋とワテ」では、スズ子(趣里)の日宝への移籍未遂と、1年間、同じ下宿部屋で苦楽を共にしてきた秋山(伊原六花)の大阪への旅立ちが描かれた。
言葉がなくても通じ合える…スズ子と秋山の「せっせっせ」
スズ子と秋山が「最後の夜」にやった「せっせっせ」は、東京に来た初日の夜を思い出させつつ、戦友どうしの2人が積み重ねてきた日々が感じられるシーンとなっていた。また、あくる日「センチメンタル・ダイナ」をステージで熱唱するスズ子と大阪へ向かう車中でタップを踏む秋山の姿が交差するシーンも、台詞がないのにもかかわらず、2人だからこそわかり合える“言葉”が伝わってくる名シーンだった。作り手から秋山への、愛情たっぷりの餞(はなむけ)のようにも思えるこの「秋山壮行エピソード」について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
「趣里さんと伊原さんは空いた時間があればいつも『せっせっせ』の練習をしていたのが印象的でした。やはり『2人の息がぴったり合う』ということがとても大事なんですね。スズ子と秋山が同じ下宿部屋で過ごす最後の夜ということで、 普通ならここで『秋山、場所が違ってもお互い頑張ろな』『福来さんも体に気ぃつけて頑張ってください』というような台詞を言わせたくなるところ。
しかしそこで2人の思いを『せっせっせ』で表現する。これはすごいなあと思いました。言葉にしなくても、『せっせっせ』によってスズ子と秋山が通じ合えた場面なんですよね。撮影は本番1発撮りでしたが、本当にお2人が自然な感じで泣けて、笑えて。こういうところが足立紳さんの本の魅力ではないかと感じています」
スズ子の熱唱と、車中の秋山のタップの“交差”。台本には書かれていなかった
また、スズ子のステージと秋山の“車中タップ”がカットバックする演出は、第7週を担当した泉並敬眞ディレクターのアイデアなのだという。
「実は、台本のト書きには【スズ子が『センチメンタル・ダイナ』を熱唱している。汽車の中の秋山。】ぐらいしか書かれていなかったんです。演出の泉並が、舞台で歌うスズ子と汽車の中の秋山が交差したほうが面白いんじゃないかというアイデアを出してくれました。秋山がひとり、東京に思いを馳せながらタップを踏んでいると、スズ子が歌う『センチメンタル・ダイナ』のリズムがテンポアップして、シンクロしていく。とても前向きで、気持ちのいい別れのシーンになったのではないかと思います。こういうエピソードでも湿っぽくしないところが、『ブギウギ』らしいのではないでしょうか」
ドラマでは今後、大阪に帰ってからの秋山の物語も描かれるという。スズ子と秋山、それぞれの居場所で花を咲かせる姿を見守りたい。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽BSプレミアム・BS4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)