漫画家「いかゴリラ」さんが旅先の大阪で体験した出来事がSNS上で大きな話題になっています。行く先々で大阪のおっちゃんやおばちゃん、お姉ちゃんらに助けられ、「大阪の方々、ありがとう」と感動。実録漫画として自身のX(@ika_redhot)に発表すると、2.8万を超えるいいねが集まりました。読者からは「大阪人はほんまに世話好き」「ほんとにこんな感じ」「旅行者を見たらおせっかいしたくなるのわかる」などと共感が広がっています。これは大阪人気質なのか。大阪をよく知る広告プランナーにも話を聞きました。
警備員、若者…みんなが心配して「迷ったんか!?」
作品はいかゴリラさんが大阪・関西空港に到着したところから始まります。「ホテルまでの道順を確認しないと…」。不安げに空港内を歩いていると、警備員の男性が近づいてきて「迷っとんのか」。道順を説明し終わると「気いつけてな!!楽しんでな!!」。
ホテルまでの道中、道端にあった周辺地図の前で立ち止まると、今度は若い女性2人組が「迷っとん??」。商店のおばちゃんもなぜか生き生きとしながら「迷ったんか!?」。
イベントが無事終了し、大阪の街も満喫したいかゴリラさん。後ろ髪をひかれながら再び空港に足を踏み入れると、到着時に道案内をしてくれた警備員とばったり。会釈をすると、警備員から思いがけないひと言が飛び出しました。「楽しかったかー?」
いかゴリラさんは「空港に降り立ったその瞬間からやさしくしていただいたので、驚き、感激したのを覚えています」と振り返り、「漫画では『なあ…』とワンクッション置きましたが、実際はもう少しフランクに、前置きなく話しかけていただきました。知らない方に話しかける時、私は極力あやしまれないように…とついまわりくどい話し方をしてしまうので、垣根を全く感じさせない大阪の方々をうらやましく思いました」。
今回漫画を発表した一番の理由は「実録漫画を通して、自分を助けてくれた大阪の方々にお礼を伝えたかったから」とし、大阪で出会った人たちに向けて「いろいろな方に親切にしていただいてとてもうれしかったです。自分もなにかあれば勇気を出して声をかけていきたいと思います。『大阪を好きになってくれてありがとう』とコメントを寄せてくださった方もいらっしゃいましたが、こちらこそ素敵な思い出をありがとうございました」と感謝の気持ちを口にしました。
大阪をよく知るプランナー「おせっかいのDNAがある」
「迷っていそうな人に声を掛けて道案内をしている人は、大阪では日常的にいます。大阪人にはおせっかいのDNAがあります。困っている人を放っておけない人も多いです」
こう話すのは、広告プランナーの浅香保(あさかほ)ルイス龍太さん(57)=大阪市北区。大阪キタの魅力を発信するフリーペーパー「つひまぶ」の編集長を務め、まちづくり団体「キタ歓楽街環境浄化推進協議会」のメンバーとしても活動する、大阪をよく知る人物の一人です。
浅香保さんは話題になった前出の漫画作品を読んだ上で、「英語が分からないのに話し掛けられて、片言で道案内している人も。目的地の場所が自分でも分からない場合は、一緒にインフォメーションに行って聞かれている人もいます」と大阪人による道案内は珍しくない光景だと説明。「初対面の人であっても一瞬で距離を縮めることができるのも、大阪人の特徴かもしれません。道案内等のちょっとした触れ合いの場面では、それらが大きな力を発揮すると思います」と大阪人の気質を分析しました。