「凶暴な野良ネコです 気をつけて下さい」と置き手紙…キャリーケースのまま遺棄された猫 怒りに震えたボランティア「怖がっているだけ、とてもお利口」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「先程、米沢市小野川町にて捨て猫を発見したと連絡がありました。キャリーケースに入れられて、怪我をしていました。共同浴場駐車場だった為、防犯カメラの確認をします。これは、犯罪です。許しません。」(11月1日夜、Xに投稿)

山形県米沢市内の共同浴場の駐車場にキャリーケースに入った猫が遺棄されていたことが分かりました。

猫が捨てられていることを知人から連絡を受けて駆け付けたという保護猫ボランティアの「Cuddle & Dedicate(カドルアンドデディケイト)」さん(@CuddleDedicate)によると、置き手紙があり、こう綴られていたそうです。

「強(凶)ぼうなのらネコです 気をつけて下さい よろしくおねがいします けがしてます 助けて下さい」

「助けたいと思うなら遺棄しちゃダメ。犯罪です」と、怒りに震えたカドルアンドデディケイトさん。猫を保護した後、警察に通報し、警察が動物愛護法違反(遺棄)の疑いで駐車場内に設置してあった防犯カメラなどを調べているといいます。

保護時のことや猫の様子などを、カドルアンドデディケイトさんに聞きました。

猫は右前足を骨折、肉球の一部消失…野良猫?

──遺棄が発覚したのは11月1日とのこと。猫ちゃんが捨てられていると連絡が入ったそうですね。

「はい。以前、TNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)を協力した方に猫のことで困ったことがあったら相談してくださいね、とお伝えしておりました。それで、その方の娘さんが見つけた遺棄された猫ちゃんのことで相談の電話があったんです。すぐ現場に向かいました」

──駆け付けた際、猫ちゃんの様子は。

「おびえている様子でした。ウーウーとうなっていたので『ごめんね、こわいよね』などと声を掛けたりして。置き手紙には『けがしている』と書かれていましたが、もう暗くなっている時間帯だったので、けががどのようなものかは分かりませんでした。また遺棄された場所が共同浴場の駐車場だったので、浴場から出てきた方々に猫を置いて行った人を見なかったかなど確認。さらに防犯カメラも見つけご近所の方にお聞きして、管理者の方へ電話をして。その日の夜は冷え込んで、急いで連れ帰りました」

──翌日、動物病院に連れて行かれて、猫の年齢やけがの具合は?

「年齢ははっきり言われませんでしたが、まだ若いと言われました。けがの状況は、右前足の骨折。ただ少し前にけがしたものだそうです。もうすでに麻痺していて、痛みは感じていないんじゃないか、と言われました…。私が見る限りでは痛そうに右前足をあげているので、数日様子をみて再度受診予定です。また肉球がところどころなくなっていました。原因は不明です」

──置き手紙には「強(凶)ぼうなのらネコです 気をつけて下さい・・・」と書いてあったようですが、実際には?

「手紙を読んだ時は、あきれと怒りと悲しさと…とても複雑でしたね。確かにキャリーケースの中でうんちをしていたため、掃除をしようとしたら引っかかれました。ただこの状況下で人間を怖がらない方がおかしいので、仕方ないと思います。目を合わせて、ゆっくりまばたきをして気持ちを伝えたら、鳴き声は優しくなりました。怖がっていて、まだ触ることはできていませんが、いい子なんじゃないかな…と感じています。『のらネコ』と書かれてありましたが、野良猫かどうかは判断が難しいです。トイレはすんなり使えたので、シャーシャー以外はとてもお利口です。ご飯をもらえる時はシャーシャーしません。ご飯が終わるとシャーシャーします(笑)」

警察が現場検証、周辺の聞き込み 防犯カメラを調べるなど捜査中

──警察に通報後、2日に警察が現場検証を行ったとのこと。

「そうです。3時間ほどかけて現場検証や周辺の聞き込みをしていただきました。目撃情報で、まだ明るいうちにキャリーケースを見つけたとの情報を得ました。このほか防犯カメラを調べるなど捜査をしてくださるそうです」

──遺棄された猫ちゃんは。

「キジ白の男の子。小さめで声も高いので女の子と思っていましたが、今日やっとお尻を向けてくれて、男の子と確認いたしました。少しずつ慣れてくれていると思います。鳴き声と表情が初日とはだいぶ変わり柔らかくなりました」

──全国的にも猫の遺棄が絶えませんね。

「動物遺棄が犯罪であることを知らない人がまだまだいるんだな…と思いました。今回の事件で、ご近所の方々や、Twitter(現X)でみてくださった方が犯罪だという意識を持っていただければ良いなと思います。保護した猫ちゃんですが、けがをしている上に人馴れしていなかったため、何も知らない人が保健所に連絡すれば殺処分の対象になってしまうところでした。それを防げたことは本当に良かったです」

保護された猫ちゃんは、「これから福がたくさん来るように」と「福(ふく)」くんと名付けられたとのこと。「福ちゃーん!」と呼ぶと、ニャと言ってくれるそうです。

  ◇  ◇

3年半ほど前から猫の保護活動を始めたという、カドルアンドデディケイトさん。現在は一人で活動中。今後はNPO団体の設立を目指しているといいます。「病気の子を含めた11匹と地域猫の世話、TNR活動、多頭飼い飼育崩壊で行き場をなくした猫の里親探し、SNSのDMなどで、猫問題でお困りの方の相談にのったりしています。まだまだ活動歴は短いですが、保護活動が遅れている米沢市が変わっていけるように尽力したいです」と話してくれました。

飼い犬や猫などの遺棄。2020年6月に施行された改正動物愛護法により、飼い主がペットを捨てた場合、これまで100万円以下の罰金刑だけでしたが、1年以下の懲役刑が加わり、厳罰化されました。犯罪です。大切な命を捨てないでください。

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