子猫の譲渡で虐待、2匹死傷…「なぜ起きた?対策は?」地域情報サイト運営側に聞いた

渡辺 晴子 渡辺 晴子

沖縄のボランティア「使う側とジモテイー側との連絡の双方向性が弱い」

昨年2月初旬に沖縄県うるま市の自宅アパートで子猫2匹を繰り返し殴打するなど虐待して死傷させた事件。ボランティアがトライアルを行うため男性に子猫2匹を引き渡したその直後に事件が起きました。子猫は兄弟で、命を落としたのがチャムくん、大けがをしたのがヨリくん。当時2匹は生後約3カ月でした。

ボランティアによると、男性に譲渡先の候補としてトライアル実施を決めたのは「脱走防止の対策や先住の子猫を見て、また同居する人がいると申告があったり…最終的に優しそうな人物だと判断した」とのこと。しかし、トライアル期間中はLINEなどで状況報告をするよう男性にお願いしたものの、子猫たちを引き渡した当日夕方になっても連絡がなく、ジモティーに連絡。男性にも電話し、ようやく翌日の昼過ぎに連絡が取れたそうです。そこで送ってきた写真に写っていたのは血が付いたチャムくんの姿…これは危険な状況だと思い、すぐにトライアルを中断させようとチャムくんたちを引き取りに行って虐待が発覚したといいます。

当時ジモティー側の対応について、ボランティアは「窓口がありますがようやく連絡することができてもこちらからの訴えがどう取り扱われたか?という、不安がありました。取り組んでいただけたようですが、訴えた本人、例えば私にどう対応しているのか?というタイムリーな連絡がなかなか難しかったと思います。使う側とジモテイー側との連絡の双方向性が弱いと感じます」と話します。

サイト運営側への要望 東海の保護ボランティア「里親詐欺疑いの緊急問い合わせフォームの設置を」

こうしたジモティーを通じて里親募集を行い、譲渡先で子猫の虐待が疑われるトラブルは、2021年2月下旬にも起きています。被害に遭った保護ボランティアによると、同年2月初旬ごろにキジ柄の雄猫と三毛柄の雌猫2匹の子猫兄妹(当時生後4カ月ほど)を保護したあと、ジモティーを介して東海エリアで里親を募集。「2匹とも引き取る」と問い合わせてきた人物に譲渡することを決めたものの、譲渡してから4日後、譲渡先の人物から瞳孔が開いていると見られる子猫の写真が送られてきたとのこと。すぐに譲渡先に急行し110番通報で駆け付けた警察も子猫を見せるように問い詰めましたが、譲渡先の人物は「逃げた」と答えるだけ。結局、子猫の遺体が見つからなかったそうです。

「同居人がいるから猫が1人になる時間は少ない。緊急時のため、親の連絡先と住所も教えておきます。在宅で仕事をしていると言っていたが実際は仕事もしてなければ同居人もいない。親の連絡先も全て嘘でした。私の自宅に見学に来てもらってから譲渡先の自宅にも環境確認で行きましたが、猫トイレなども準備されており、一生大事にすると言われ見抜けず…おそらく子猫は殺されてしまいました」と当時を振り返る保護ボランティア。今回起きた沖縄の事件をはじめ、自身のトラブルを経験してサイト運営側にこう訴えます。

「まず1点目は譲渡完了ボタンのタイミング、また押し忘れ対策。トライアル中の場合、いつボタンを押すべきかが課題だと思います。ただトライアル中に虐待する人も少なくありません。それに、トライアル中に次の応募を狙ったりする虐待者もいるようですから、その対策も考えてほしいです。次に2点目は、譲渡契約書を実際交わしているのかどうか。全て当事者間任せになっており、譲渡契約書の徹底化を図るため契約書を交わした後にサイト側に送信する義務なども設けてもいいかもしれません。

さらに3点目ですが、同居人がいる場合の証明書やペット可の自宅である証明書なども譲渡主側が求めてサイト側に提出させることも必要ではないかと感じます。最後に4点目。これは、里親詐欺疑いの緊急問い合わせフォームの設置です。現在の問い合わせ先だけでは通報した時点でどれだけタイムリーに対応してくれるか疑問に思います。緊急時用の里親詐欺疑いの緊急問い合わせ、対応フォームがあるとありがたいです。またチェック項目をたくさん作って対策をしているとサイト側は書いてますが、もう少し里親詐欺についてイラストを取り入れてわかりやすく伝えるページを追加で作ったり、今回あった事件のような具体的な事例を載せたりして注意喚起してもらうなど安心して使えるサイトになってほしいですね」

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サイトなどを通じた動物の譲渡で気を付けることとは?

譲渡の際に気を付けることについて、これからサイトなどを通じて動物の譲渡などを検討されている方にも読んでいただければ幸いです。

▽独身者への譲渡(結婚していると虚偽の申請の可能性もあるので、必ず譲渡の際はご夫婦揃って同席してもらえるようお願いする)。

▽譲渡契約書を必ず書いてもらう。

▽譲渡後、本人と動物との写真を撮ってもらうなど連絡報告を長期にわたり依頼。

▽ペット飼育可のアパートやマンションかどうか確認を行うため、譲渡予定先に事前に足を運ぶ。

▽物腰が柔らかく、動物好きだと装っている人もいる。例えば、「親族に動物病院関係者がいる」「トイレを準備している」「ペットタワーもこれから買う」などと信用させるようなことを言う人には要注意。

インターネットによる動物の譲渡は、お互いのモラルや信頼関係によるところが大きいです。“命”を粗末に扱うような取引が行われないよう切に願います。

「ジモティーの里親カテゴリは安全?行われているトラブル対策は?」

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