11月2日に放送された『ブギウギ』(NHK総合)第5週「ほんまの家族や」24話は、林部長(橋本じゅん)による悲しい報せと、「大和さんが亡くなってもうた」というスズ子(趣里)のモノローグで終わった。『ブギウギ』は従来の朝ドラの「1週につき1エピソードで、金曜日に落着する」という構成とは一味違い、前週から跨ったエピソードが週前半で一区切りして、週の半ばでまた別のエピソードが始まるという、独特の構成になっている。
第5週の月・火曜回は前週から続いていた「スズ子の出生の秘密」にまつわる物語が描かれ、水・木曜回ではスズ子の東京行きの話が持ち上がった。そして木曜回のラストシーンは、大和礼子(蒼井優)が亡くなったという衝撃の展開で終わる。今週は3つのエピソードが“押し出し式”で描かれるという、さらに複雑な展開となっている。この独特な構成について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
「解決なんかしないまま、それでも生きていかなければいけない」
「今週の3つのエピソード、普通は少なくとも2週に分けると思うんですよね。ですが、脚本の足立紳さんも、我々スタッフとしても、畳みかけるように次から次に事が起こっていき、解決しないまま次のことが始まっていくというほうを好んだ、と言いましょうか。展開のさせかたは、すごく難しいんですけれど。
『ブギウギ』では、『物事が始まって解決して、始まって解決して』というものとは違う構成を目指しました。そのほうがリアルなんじゃないかなと。人生において、何かが起こるときはどんどん起こっていきますし、解決なんかしないまま、それでも生きていかなければいけない」
「翻弄されながら、スズ子が自分の道を選択していくのを見ていただければ」
この畳みかけるような展開によって、スズ子の波瀾万丈な人生と、どんなことがあってもくじけずに生きていく「雑草魂」が、より観る者の胸に迫ってくる。さらに福岡さんは続ける。
「出生の秘密が明らかになって、家族の問題があって、でもそれは一旦置いておいて、東京行きの話が出てくる……というところで翻弄されながら、スズ子が自分の道を選択していくのを面白く見ていただければ、と思っております。1話見逃すと『なんだこの話は!』『ついていけない!』と言われてしまう恐怖は、日々感じているのですが(笑)、物語としては、とても面白くなっているのではないかと思います」
生身の人間の生きる姿を、できる限りリアルに見せようとする『ブギウギ』。このあとスズ子がどんな選択をしていくのか、見守っていきたい。
◇ ◇
『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽BSプレミアム・BS4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)