2024年4月からトラックドライバーの時間外労働（残業）の上限が年間960時間に規制されることで起きる『物流2024年問題』。トラックドライバーの3割強が「物流2024年問題を知らない・よくわからない」と回答――そんな調査結果が株式会社KiteRa（東京都港区）が実施した「トラックドライバーの働き方」に関する実態調査で分かりました。また、8割弱のトラックドライバーが、勤務先において「物流2024 年問題に関する研修や説明が何も行われていない」と認識していることが分かったそうです。
調査は全国の20代以上のトラックドライバー600人を対象として、2023年10⽉にインターネットで実施されました。なお、回答者の年代の内訳は、20代（3％）、20代（3％）、30代（9％）、40代（28％）、50代（39％）、60代以上（21％）となっています。
物流2024年問題は働き方改革法によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称のことで、具体的には、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されています。さらに、物流・運送業界の売上減少、トラックドライバーの収入の減少なども考えられると指摘されています。
全国の20代以上のトラックドライバー600人に対して、「勤務先で”物流2024年問題”に関して何かしら研修や説明がありましたか」と聞いたところ、77.0%の人が「何も行われていない」と回答。他方、「朝礼や終礼などの場で説明があった」（12.2%が）、「研修会や社内勉強会が行われた」（7.8%）、「資料の配布や掲示があった」（9.0%）など、何かしらの説明があったのは約3割となりました。
さらに、「物流・運送業界の”2024年問題”を知っていますか」という質問に対しては、66.0%の人が「知っている」と答えているものの、「聞いたことはあるがよくわからない」が25.5%、「知らない」が8.5%と、合わせて34.0%の人が”物流2024年問題”に関して理解できていない実態が明らかとなりました。
また、56.0%の人が「勤務先の就業規則を見たことがない」と回答し、副業可否や上限規制に関する社内規程や社内ルールなどを把握できていない様子がうかがえます。
そこで、「就業規則を見たことがない」答えた389人に対して、「就業規則を見たことがない理由」を複数回答で答えてもらったところ、「就業規則をどこで見られるかわからないから」（36.0%）、「就業規則を確認する必要がなかったから」（31.3%）などに回答が集まったほか、約2割の人が「勤務先には就業規則が存在しない」（21.7%）と回答しました。
ちなみに、「就業規則を見たことがある」と答えた人に「就業規則を確認した時期」を教えてもらったところ、「入社時」「休暇取得のために確認」「覚えていない」といった声が寄せられました。
1カ月間の時間外労働（残業）の平均時間を聞いたところ、40時間未満（74.2%）が最多に。以下、40時間以上60時間未満（11.3%）、60時間以上80時間未満（8.2%）、80時間以上（6.3%）と続きました。
これらを年間に換算してみると、80時間以上で960時間以上となるため、このままでは1割弱のドライバーが2024年4月に施行される時間外労働の上限規制違反となることが分かりました。
さらに、「時間外労働（残業）が発生する原因」を複数回答で答えてもらったところ、「人員が足りないため」（57.8%）や「仕事量が多いため」（55.3%）などに回答が集まった一方で、「収入を増やすため自ら望んで残業している」（21.2%）という人も一定数いることが明らかとなりました。
なお、「この1年で1日以上、有給休暇を取得した」と答えた人は62.9％、「取得していない」と答えた人は37.0%となり、約4割が今年まだ1日も有給休暇を取得していないことも明らかとなっています。
最後に、「時間外労働の上限規制によって心配していること」について複数回答可で聞いたところ、ダントツで「収入の減少」（67.3%）が最多に。以下、「無理な運行・走行計画が立てられる」（27.7%）、「労働時間帯やシフトの変更」（27.3％）といった労働条件や業務内容への影響を懸念する回答が多くみられました。
また、時間外労働の上限規制によって収入の減少を心配するドライバーが多かったことを受けて、「退職や転職、副業などの予定」を教えてもらったところ、「今の勤務先での勤務を継続する予定」（73.5%）が最多に。一方で少数派ではあるものの、「ドライバーを辞めて異業種へ転職予定」（7.0%）、「独立を予定」（0.8%）といった人もみられたそうです。
