仏教の教えに基づいた”言葉”や”名言”などを、毎日、SNS(X・Instagram)に投稿する大阪・専念寺の住職・籔本正啓さん。ネコ坊主(@yabumoto610)として話題となり、今や総フォロワー数45万人を超え、いつも「救われる」「心に染みる」と話題になっているXユーザーです。
ネコ坊主さんが日々発信する格言に「救われる」 最も反響が大きかった格言は?
――SNSでいちばん反響が大きかった格言は?
「『言いたいやつには言わせとけ。百年たったらみんな死ぬ。』が反響が大きかったです。日本人は人との協調性や顔色を伺う民族です。それはそれで素敵だと思うんですが…自分を苦しめてするのは少し違うと思っています。成功しても失敗しても息をしていても悪く言われる世の中ですから。好きなことを目標に向かっていくことがまず大切ですね」
――これまでSNSで格言を発信されて、一番多いのはどんな悩みだと感じましたか。
「人間関係がいちばんの悩みだと思います。特に仕事の大変さや学校の大変さやよりも、人間関係で悩んで辞める方が多いです。仕事は星の数ありますが、自分の命はひとつですから。苦しくならないよう、自分にとっての優先順位を大切にしてもらいたいです」
――ちなみにSNSで格言と一緒に添えている猫ちゃんの写真はどなたが撮影を?
「私が日々地域ネコ活動の一環で近所のネコを撮影しています。ネコの変化や病気、そして何よりも見守っているという抑止力が虐待や治安維持になっていると思っています」
――SNSで話題になった格言を集めた書籍を出版されるのですね。
「一生に一度は本の出版をしたいと思っていたところに、SNSの反響が大きくなり、たくさんの出版社さまに声をかけていただき決めさせていただきました。SNSを見ない方や本だからこそ夜にデジタルデトックスをしてゆっくり安眠していただけたらと思っています。人の悩みは何年も変わることはないので本が長く愛されることを願い書かせていただきました」
――皆さんにメッセージをお願いします。
「たくさんの方に手にとってくださることをうれしく思います。本を通して仏教に少し興味をもったり寺社仏閣に足を運んでもらえたら。また地域ネコ活動に少しでも行政や地域が当たり前なることを願いながら、サッ処分(殺処分)ゼロを目指して行きたいと思っています。これからも応援よろしくお願いします!」
毎日SNSに投稿している「お寺の掲示板」の言葉、格言を考える籔本さん。仏教からの教えから外れないことは大前提で、難しくなく分かりやすい、そして共感できる言葉を選んでいるそうです。掲示板は17年ほど前に始められ、「ネコ坊主」と名乗るようになったのは数カ月ほど前。
なぜ「ネコ(猫)」なのか尋ねると、「ネコは日本の仏教を手助けした生き物です。中国から日本に経典を運ぶ時に船にどうしてもネズミが紛れ込みます。大事な書物をかじられないようにネコを一緒に輸入しました。それから経典を安置する蔵にネコが描かれる事があります。私のお寺の専念寺の蔵もネコが描かれています。そんな仏教を助けてくれた生き物を殺処分から守りたいという思いからです」と話してくれました。
「一向 専念寺」は、大阪市平野区喜連瓜破にある慶長2年(1597)に創建された豊臣家ゆかりの寺。籔本さんは現在41歳で、25代目の住職とのこと。サクラネコの御朱印帳と御朱印を提供しており、また奉納金の一部は地域ネコ活動などに寄付しているそとのことです。月替わりの御朱印が人気。郵送でも受け取り可。問い合わせは、メール(sennenji1597@gmail.com)まで。
日々発信している格言の中から厳選したものを集めた書籍『しんどい心が軽くなる 今日のネコさんの教え』(税込1430円)は、11月2日に出版社「KADOKAWA」(本社:東京都千代田区)より発売されます。
書籍は、「人との関係性に悩むあなたへ」と「自分の在り方に悩むあなたへ」の2部構成。「自分を好きになれない」「自分を大切にできない」「すぐ人に振り回されてしまう」「人の目ばかり気にしてしまう」「ネガティブな感情に支配されやすい」…そんなしんどさ、生きづらさを解決するためのヒントを多数収録されています。