シニアのみなさんが、年齢を重ねることで感じる住まいへの不便や不満にはどのようなことがあるのでしょうか。全国の55~79歳の男女2000人(高齢者向け住宅居住者を除く)を対象に「シニアの『住まい』に関する調査」を実施したところ、「庭の手入れ」「外壁や屋根、窓やドアなどの老朽化」などに回答が集まったそうです。
株式会社ハルメクホールディングス(東京都新宿区)の『ハルメク 生きかた上手研究所』が、株式会社ハルメクエイジマーケティング(東京都千代田区)と合同で2023年8月にインターネットで実施した調査です。
調査によると、今後の住まいについて「死ぬまでずっと今の住まいに住み続けたい」と答えた人は53.0%。次いで、「死ぬまでずっと今住んでいる地域に住み続けたい」(19.9%)、「健康な間は今の住まいに住み続けたい」(18.3%)と続き、できるだけ今の住まいや地域で住み続けたい意向がうかがえました。
これを男女年代別でみると、年代が高いほど「死ぬまでずっと今の住まいに住み続けたい」意向が多く、特に75~79歳の男性では72.0%と高くなりました。
続けて、「今の住まいへの満足度」を聞いたところ、66.0%の人が「満足している」(満足している27.1%・やや満足している39.0%)と回答。その一方で、44.6%の人が「住まいの将来に不安がある」(不安がある13.5%・やや不安がある31.1%)と回答しています。
そこで、「年齢を重ねることで感じるようになった住まいへの不便や不満」を複数回答で教えてもらったところ、「特にない」(37.6%)が最も多かったものの、「庭の手入れが大変」(22.3%)、「外壁や屋根、窓やドアなどの老朽化が心配」(18.8%)、「風呂場の掃除がおっくう」(17.7%)、「階段の上り下りが疲れる」(14.8%)、「上部や奥にしまった収納物の出し入れが大変」(14.2%)といった回答が挙げられました。
次に、「住宅リフォーム・住み替え・建て替えの経験」について聞いたところ、「住宅リフォーム経験者」は45.3%、「住み替え経験者」は47.7%、「建て替え経験者」は14.4%となりました。また、今後の意向について、「今後する/したい」と答えた割合は、「住宅リフォーム」が28.2%となったのに対して、「住み替え」14.6%、「建て替え」は4.7%と少なくなりました。
住宅リフォーム経験者かつその金額を回答した848人に対して、「最近実施したリフォーム費用」を万円単位で聞いたところ、リフォーム総額の平均は「約383.0万円」となりました。内訳をみると、自己資金平均が「約339.3万円」、借入金が「約36.7万円」、補助金など(返済不要)が「約7.0万円」となり、自己資金でリフォームした人の比率は88.6%を占める結果となりました。
また、住み替え、建て替え(リフォーム、改修含む)経験者1373人に対して、「誰を中心に内容を考えましたか」と聞いたところ、「現在の自分と配偶者、パートナー」(31.8%)と「現在の自分」(25.9%)で6割弱を占めており、将来のことより現在を重視する様子がうかがえました。
なお、「住み替え、建て替え(リフォーム・改修含む)にあたって参考にした情報」について、収集段階と決定段階に分けて聞いたところ、いずれにおいても「地元の工務店からの情報」(収集段階32.7%・決定段階30.4%)が最も多く、次いで、「住宅展示場、設備展示場、ショールーム」(収集段階23.9%・決定段階18.9%)、「インターネット」(収集段階23.4%・決定段階14.0%)、と「知人、経験者からの情報」(収集段階23.1%・決定段階17.5%)などが挙げられました。
最後に、直近の5年間で住まいに「買い足したもの、買い替えたもの、工事・修繕したもの」を複数回答で答えてもらったところ、「トイレのリフォーム」(13.5%)、「縦型洗濯機」(10.6%)、「外壁の修繕」(10.4%)などが上位に並びました。
一方、「今後やりたいこと」については、「浴室のリフォーム」(12.1%)、「キッチンのリフォーム」(9.7%)、「外壁の修繕」(8.9%)といった水回りや外壁・屋根の修繕割合が多く挙げられました。
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調査を実施した同研究所は、「歳を重ねて感じる不便や不安は、引越しや移転といった“住み替え”ではなく、リフォームや改修といった“建て替え”で解決していることが分かりました」としたうえで、「住宅リフォーム市場規模は、6~7兆円と言います(出典:矢野経済研究所)。この市場はシニア世代によって支えられている、そして、これからも支えられていくであろうことが予測できそうです」と述べています。
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【出典】
▽ハルメク 生きかた上手研究所調べ