女性ファッション誌「CLASSY.」の着回し企画が、毎月発売されるたび「突っ込みどころが満載」と世間をざわつかせている。最新の10月号のテーマは、日本沈没まで1カ月。日本沈没の危機を知った内閣府の防災アドバイザーの女性が、日本を救うためにスニーカーで奔走する物語。彼氏が内閣副官房長官だったり、地震のシーンではファッション誌なのに写真がブレブレでコーデがよく見えなかったり、と攻めたシチュエーションがSNS上でも話題になっている。このほか、投資詐欺に遭ったアラサー、雪女が人間と恋に落ちる話…とコメディ感溢れるストーリーを量産。編集室長の水澤薫さんに制作秘話を尋ねた。
ファッション誌なのにコーデ見えず
光文社が発行し、来年創刊40周年を迎えるCLASSY.。人気企画「着回しDiary」は、企画が始まった当初は、恋愛が主軸で1カ月間で素敵な男性と出会って結ばれるのが大まかな流れだった。「今の着回しの大きな系統は2つあって、投資女子のように現実にありそうなものと、全くのフィクションがあります。季節や流行に合わせた特集のテーマを決めてから着回しのアイテムを決定し、ストーリーのアイディアを出し合います」と水澤さん。ライターが読者やモデルに恋愛エピソードや面白い話を取材しては蓄積。毎月、4~5人が案を出してくれるという。
10月号のテーマは、スニーカー。9月1日が関東大震災から100年の節目だったのに合わせ、防災女子に焦点を当てた。首相や中国の国家主席と交渉するなど、ハチャメチャな展開。最後は巨大地震が発生し、遠くから目覚ましのアラーム音が聞こえ…。「現実なのか、夢なのか。読めば読み込むほど、パラレルワールドかもしれないという感じが出ます(笑)」。地震の場面では、家族とはぐれた女の子役にスタッフの子どもを起用するなど、こだわりを散りばめている。
ほぼ実話の投資話、役立つ情報も
大反響だった投資女子は、ほぼ実話。1年前に婚約破談になった31歳が主人公で、物価高、賃金横ばいで苦しい中、節約と投資に精を出すストーリー。「お金に困っているのでプチプラのユニクロなどの服を合わせました」。貯金も現金も全部投資に回し、〝お金があるのにない状態〟など、切実な描写は実体験だからこそ。累計利益70億円超の有名投資家・テスタさんのインタビューも添え、役立つ情報も盛り込んだ。一方、雪女の物語は好きな人とカフェでホットコーヒーを飲んで溶けてしまうなど、ディズニー映画のようなメルヘンチックさを醸し出している。
「最近はSNSで話題にしてもらって、ハードルが上がっていますが…!ぜひ書店に足を運んでもらって手に取ってもらいたいです」と水澤さん。9月28日発売の11月号の着回し企画は「キレイめパンツで転職活動」。ブラック企業にまつわるリアルが描かれるという。