「データが消えてしまったので調べてほしい、と持ち込まれた256GBのUSBメモリ。どうも挙動がおかしいので詳しく調べると容量偽装品。本当は64GBの容量しかなく、それを超えると前のデータを消すという極悪仕様。」。東京・秋葉原のデータ復旧専門店「データSOS」がXの公式アカウント(@data_sos)に投稿した注意喚起が注目を集めています。容量偽装は古典的な手口ですが、今回判明したのは発覚を遅らせるという狡猾な仕様でした。
同店によると、このUSBメモリは2022年3月にAmazonで購入。仕事で使っているExcelデータが突然開けなくなり、PowerPointで作成したデータも開けなくなったそうです。担当者に聞きました。
ーーデータは復旧したのでしょうか
「当社にご依頼いただいた経緯としては、まずお客さまが復旧ソフトで復旧を試み、復旧したデータが本来の内容と異なる別のデータが出てきた、という点に不審を抱き、ご依頼を受けました。データは完全に別データで上書きされており、復旧は不可能でした。
ただ、出力した紙データが見つかり、最悪の事態は免れたとご報告をいただきました」
ーーUSBメモリーにはAeulnとありますが、メーカー名でしょうか
「Aeulnについて調べてみましたが公式サイトなどは確認できませんでした。おそらく容量だけでなく、性能、クチコミ、あらゆることが偽装なのだと思われます」
ーー「64GBの容量しかなく、それを超えると前のデータを消す」という仕様がより悪質です
「容量偽装にはさまざまなパターンがあります。以前ご相談があったのは、Amazonで売られていた子供用トイカメラに付属していた32GBのMicroSDが実際には2GBしかなく、2GBを超えると認識しなくなるというシロモノでした。今回のケースは、64GBまでは普通に使え、超えても一応アクセスできるので発覚が遅れたようです。当初お客様はこのUSBメモリに何の不審も抱いておらず、PCが外部から不正侵入されたのでは?との疑念もお持ちでした。発覚を遅らせるようより狡猾になっているのだと思います」
価格の相場をつかんでおくことが大切
こうした偽装品をつかまされないためにどんな自衛策があるのでしょうか。データSOSの担当者は以下のアドバイスをしています。
(1)価格の相場を把握
大手家電量販店のサイトでUSBメモリを検索すると、128GBのもので2~3千円程度で売られています。一方、Amazonで見かける偽装品と思われるメモリは、1TBのものが2~3千円の値がつけられています。「相場を知っていれば、10倍の容量なのに同価格でおかしくないか?」と違和感を覚えるはずです。
(2)実績のあるメーカーのものを選ぶ
具体的にはSandiskやキオクシア、トランセンドなど自社でメモリーチップを作っているメーカーを。ただし、そのブランド表示までもが偽装されることがあるので、信頼のおけるお店で買うことが望ましいです。
(3)Amazonで購入する際は
Amazonは誰でも出品でき、海外の観光地にある偽物の露店のような状況ですので出品者を確認することが重要。購入するなら、Amazon自らが販売しているのかを確認を。