専業主婦でも「家事・子育ては夫婦同等にするほうがいい」…母親・父親ともに8割が回答 しかし実際は?

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

みなさんは、家事・子育ての分担についてどのように考えていますか。0~6歳の第1子をもつ母親2891人(うち有識者1317人、平均33.9歳)、同じく父親2891人(うち共働き2053人、平均37.8歳)に調査をしたところ、母親・父親ともに約8割が「妻の就業の有無にかかわらず、家事・子育ては、夫と妻が同等にするほうがよい」と回答したものの、そのうちの半数以上は「よいと思うが、実際には難しい」と回答したそうです。

株式会社ベネッセコーポレーション(岡山県岡山市)の社内シンクタンクである『ベネッセ教育総合研究所』が「乳幼児の保護者のライフキャリアと子育てに関する調査」と題して2023年3月にインターネットで実施した調査です。なお、母親と父親は夫婦ペアデータではありません。

まず、「妻の就業の有無にかかわらず、家事・子育ては、夫と妻が同等にするほうがよいと思いますか」と聞いたところ、「よいと思う」と答えた割合は、有職母親が84.6%、無職母親が83.0%、有職父親(母親は有職)が77.3%、有職父親(母親は無職)が77.2%となりました。

その一方で、「よいと思う」と答えた人のうち、有職母親の43.1%、無職母親の50.8%、有職父親(母親は有職)の40.2%、有職父親(母親は有職)の48.82%が「よいと思うが、そうするのは難しい」と答えています。

また、「子育ての分担比率」について、0~10割のなかから選んでもらったところ、有職母親の49.1%、無職母親の70.1%が、「子育てを自身が8割~10割担っている」と回答。一方、有職父親(母親は有職)の50.0%、有職父親(母親は無職)の67.7%が「子育てを0割~3割担っている」と回答し、職業の有無にかかわらず、母親に大きく偏っていることが明らかになりました。

さらに、ライフキャリアにおいて、「親」「家庭人(家事の担い手、介護、配偶者との関係など)」「職業人」「個人(趣味、健康、地域など)」の4つの役割それぞれの意識を聞いたところ、「親としての自分」「家庭人としての自分」の役割意識は、母親は理想より現実の方が高く、特に無職母親(理想4.99、現実5.88)に顕著。一方、父親は、「職業人としての自分」の役割意識が、理想より現実の方が高く、母親(妻)が無職の場合(理想2.68、現実3.52)ではより高い傾向が見て取れます。

続いて、「子育てやキャリアの悩み」について調査をした結果、「子どもと長く一緒にいることで疲れることがある」と答えた割合は、有職父親(母親は有職)が63.2%、有職父親(母親は無職)が68.6%となったのに対して、有職母親は75.2%、無職母親が77.8%と母親のほうが高い頻度となりました。

また、「子どもを預かってくれる人を見つけるのが難しい」と答えた割合は、有職父親(母親は有職)が60.3%、有職父親(母親は無職)が59.0%となったのに対して、有職母親は61.4%、無職母親が67.2%と無職母親の頻度がより高くなっています。

さらに、「家庭のこと(子育てや家事等)と両立できる条件の仕事を見つけるのが難しい」と答えた割合は、有職父親(母親は有職)が64.6%、有職父親(母親は無職)が64.5%となったのに対して、有職母親は71.3%、無職母親が80.0%と無職母親の頻度がかなり高くなっています。

他方、「子どもと過ごす十分な時間がとれない」と答えた割合は、有職母親が54.9%、無職母親が22.7%となったのに対して、有職父親(母親は有職)は61.1%、有職父親(母親は無職)は62.6%となり、母親に比べて悩みの頻度が高くなりました。

次に、「妊娠・出産・子育て支援へ期待すること(とても期待する+まあ期待するの計)」を聞いたところ、母親は「子どもを安心して預けられる園における保育の質の確保」(86.0%)が1位に。一方、父親は「父親が家事・子育てに参加しやすい職場の制度や環境」(78.8%)が1位となりました。なお、「とても期待する」の回答でみると、母親・父親ともに1位は「子どもの医療費の軽減、無償化の取組」(母親59.1%、父親38.7%)」でした。

最後に、「子育て観や仕事観、男女の役割観に影響を与えている人や環境」について聞いたところ、「配偶者/パートナー」(母親82.3%、父親88.0%)、「自分の親」(母親73.8%、父親61.5%)などの親族が特に大きな影響を与えているものの、母親は「世の中の風潮や常識」(49.6%)も多くなっていました。

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調査を実施した同研究所は、「政府は『社会全体の構造・意識を変える』ことを、こども・子育て政策の基本理念のひとつにあげていますが、社会を構成する私たち一人ひとりが、性別による役割観や子育てに関する考え方を見直し、社会の風潮・常識を変えていく意識が必要ではないでしょうか」と述べています。

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