2023年7月、愛知県内の住宅街でひとりぼっちで彷徨っているワンコがいました。黒と栗色の毛が特徴のシェパードに見えるオスです。とある家の庭で横たわっているところを発見されました。炎天下を彷徨い続けたことで熱中症となり、肉球にはやけどの症状もありました。
このワンコを保護することにしたのが愛知・三重などの東海エリアを中心に保護活動を続ける団体・一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。スタッフはすぐに現場へ向かい、このワンコをSORAの施設へと連れて帰りました。
迷い犬が来たのは奇しくも団体スタッフの知人の家
2023年の夏は猛烈な暑さでした。7月の愛知県エリアでは気温が35度を超える日が続いていました。
そんな酷暑の中で迷子になったのが前述のワンコだったわけですが、その名前はリクくん。リクくんが横たわっていた住宅は、偶然にもSORAに参加するスタッフが、本業で勤める会社の家族の家でした。この家では以前にシェパードを飼育していた経験があり、大型犬でも臆することなくリクくんのために水やご飯を与えてくれました。スタッフはその話を聞いて、「信頼できる人に保護してもらえて本当に良かった」と胸をなでおろしました。
リクくんは疲労困憊ながらも不安そうな表情を浮かべた
厳しい暑さの中を耐えながらずっとひとりぼっちで歩き回っていたのでしょう。
リクくんはスタッフが持参したリードを首にかけても、抵抗することはありませんでした。ケージに入る際は嫌がって少し暴れていましたが、比較的スムーズに保護することができました。「こんなに疲れるほど、長い時間ひとりぼっちで彷徨っていたんだね」とスタッフは胸を痛めました。一方、当のリクくんは力を失いつつも「これからどうなるんだろう」と不安げな表情。周りをキョロキョロ見渡しています。
そんなリクくんにスタッフは「もう大丈夫だよ。ゆっくり休もうね」と優しく声をかけました。そして、疲れ果てているリクくんに最大限の配慮をし、そっと車にケージを運び入れ、住民の方に感謝の言葉を告げてその場から離れました。
迷い犬・リクくんの飼い主の申し出はなかった
リクくんを連れて帰ったスタッフは、動物病院へと連れていき、獣医師に健康状態をチェックしてもらいました。住民の方の手厚いケアとスタッフ達による迅速な対応もあって、命には別状がないとのこと。しかし、痛々しい肉球のやけどは治療が必要で、しばらく投薬を行うことになりました。
そして、スタッフは動物愛護センターなどに問い合わせ、リクくんの飼い主の申し出がないか細かく確認しました。しかし、残念なことに申し出はありませんでした。リクくんはSORAで預かることとなり、新しい里親さんへの譲渡が決まるまで世話することにしました。リクくんは去勢手術やマイクロチップ装着がされていなかったため、今後体力が戻ったら手術が行われる予定です。
人馴れトレーニングを重ね里親募集を目指す
SORAで預かったばかりの頃のリクくんは、疲労もあってか、すぐには環境になじめず怖がる様子を見せていました。しかし、スタッフの献身的な世話から愛情を感じ取ったのか「この人たちは優しい人なんだ」と理解し、やがてスタッフの手から直接おやつなどを食べられるようになりました。
さらに、サークルから出てみたり、他のワンコとコミュニケーションをとってみたりと、少しずつ心を開いてくれるようになりました。外での散歩はまだ難しいですが、もう少し慣れてきたらきっとスタッフさんと一緒に歩けるようになるでしょう。スタッフによれば、今後人なれトレーニングを積んでいけば、里親募集にかけられるようになるとのこと。
今度は優しくてきちんと向き合ってくれる里親さんに巡り合い、たくさん愛されて幸せになってくれることを願うばかりです。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
SORA小さな命を救う会・インスタグラム
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