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君はどこから来たの?首輪に2本のリードをつけた迷い犬 リードを引くと苦しげな表情になった

松田 義人 松田 義人

「迷い犬」として保護されたワンコに飼い主が現れなかった場合、どのような運命をたどるのか、ご存じですか。

飼い主からはぐれてしまった、飼い主の身勝手で捨てられてしまったワンコはおおむね保健所に収容されます。そして、一定期間を経ても飼い主が現れなかった場合は、殺処分対象になってしまいます。こういった「迷い犬」を含むワンコが、今日においても毎年数千頭も殺処分されています。

この悲しい現実を前に、1頭でも多くの命を救い、新しい里親さんへと繋ぐ活動をする保護団体が全国各地にあります。北海道を拠点に、地元エリアを中心とした保護活動を行なっているのがHOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)です。同団体に引き取ることになった渚(なぎさ)というオスのミックス犬も、もともとは釧路保健所に収容された「迷い犬」でした。

保健所に収容されたが、飼い主の名乗り出はなかった

渚は北海道のとある町で、首輪に2本のリードをつけた状態で彷徨っているところを保護されました。推定年齢9〜11歳ほどというシニアの域に入っており、2本のリードをつけていたことからも元飼い犬のようでした。

保護された渚は、当初釧路保健所に「迷い犬」として収容されることとなりましたが、一定期間を過ぎても元飼い主からの名乗りや迎えはなく、殺処分対象となる日が近づいていました。

それを知ったしっぽの会が、引き出すことにしたわけですが、保健所の担当者によると、当初は職員に噛みつくことがあったそうです。その通り、しっぽの会で引き出した後も、興奮したり嫌なことがあると、渚は確かにスタッフに噛みついてきました。

健常なワンコと比べて「気管が細い」渚

なかなか手強い渚ではありますが、しっぽの会のスタッフは動じません。これまでにも多くのワンコと接してきたからです。そして、こういった癖のあるワンコであっても、たっぷりの愛情を注げば心を開き、笑顔を見せてくれることも少なくありません。長年の経験から、渚を信じ慎重に世話をすることを決意しました。

スタッフは渚を動物病院へと連れていきました。健康状態の確認をするためでしたが、獣医師による所見では「気管が細い」とのこと。確かに散歩に連れていき、リードを引っ張ると過度に苦しそうな表情を見せることがありました。もしかしたら、これも「気管が細い」ことの影響かもしれません。

病気の詳細は不明のままですが、いったんは渚に気管支拡張剤の投薬を続け、経過観察を行うことにしました。また、散歩の際は渚の負担にならないよう、できる限り引っ張らないように一緒に歩くことを心がけました。

いつか心の傷が癒え、幸せな日が訪れますように

現時点での渚は、本当の性格、行動パターン、そして肝心の病気の詳細がわからず、しっぽの会で経過観察中です。

それでも少しずつ環境に馴れてくれたのか、それまでには見せなかった本来の様子も見せてくれるようにもなりました。

どこから来て、どこに向かっていたのか、全くわからない元迷い犬の渚ですが、殺処分目前でしっぽの会に引き出し、世話してもらえることになったのは不幸中の幸いでした。

大好きだったであろう元飼い主の迎えが来なかった寂しさや不安を思うと胸が苦しくなりますが、そんな心の傷が今後少しでも癒され、いつか幸せに暮らせる日が来ることを願うばかりです。 

HOKKAIDOしっぽの会
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