外猫に餌を与える人と糞尿に憤る人が対立 餌やりの女性は認知症に 生き場を失った母猫と子猫が幸せをつかむまで 

松田 義人 松田 義人

2023年の春、山口県岩国市のある地域で問題が起こっていました。猫好きで餌やりを続ける住民と糞尿などで迷惑を被る住民がトラブルになっていたのです。

猫を嫌う住民が、猫を踏み殺す事件も

この地域で餌やりをしていたのは、猫好きのおばあさん。当初は飼い主のいない猫をかわいそうに思い、動物への愛情から餌を与えていたようですが、その多くは避妊や去勢をしていません。当然、猫は繁殖を繰り返し糞尿問題などが起きる一方、猫を嫌う住民の中には猫を踏み殺すといった暴挙に出る人もいました。

さらに、そのおばあさんは認知症となり、施設に入ることが決まりました。そのおばあさんと離れて暮らす親族と地元ボランティアさんが話し合い、子猫の保護と大人猫たちのTNRを実施することになりました。さらに、人間には馴れている猫たちは猫を嫌う住民からの標的になりかねないことから、保護することにました。

当初は目やにで片目が開かなかった蛍

そんな場所で生まれたのが、蛍と純のというきょうだい猫でした。まだ離乳前ということもあり、純と蛍とその母猫を迎え入れお世話することにしました。

当初、蛍は目やにで片目が開かない状態でしたが、治療のために母猫のそばにいた蛍を取り上げて目薬をさして元に戻すというのを日に何度か行うものの、母猫にとっては「そうしたことが我が子のため」とは理解できず、だただ母猫の不安を大きくしてしまっていたと思います。

結果的に、母猫は一般の方に譲渡できるよう人馴れさせるには時間がかかると判断。適切な手術をした後、元の場所にリリースすることになりました。一方、生後2ヶ月となった蛍と純は里親さんを探すことになりました。

2匹一緒に里親希望者さんの家で暮らすことに

この里親募集を行うことにしたのが、前述のボランティアさんと懇意の東京・港区周辺で活動をする保護団体・みなとねこ。たった1人の外猫の保護活動から始まり、その行動に賛同した近隣の猫好きの人々が協力するようになり、いまでは地方のボランティアたちとも連携し、たくさんの保護猫を「ずっとのおうち」へ送り出してきています。

離乳前に保護され、ずっと人がお世話してきた蛍と純は、東京の預かりボランティアさん宅に移動しても、全く物怖じすることなく、持ち前の好奇心旺盛な性格ですぐに環境に馴染みました。特に猫じゃらしに対する集中力はすさまじく、2匹一緒に機敏な動きで猫じゃらしと格闘し続けることもあります。

みなとねこでは、1歳未満の子猫は基本的にはペアで譲渡をしていますが、ほどなくして蛍と純にも里親希望者さんが現れました。

2匹ともまだ遊びたい盛りの子猫です。家のカーテンやソファなどをボロボロにされたり、いたずらされることも説明しましたが、里親希望者さんは「大丈夫です」とおおらかに迎え入れてくれました。

きっと今頃は蛍も純も、この優しい里親さんの元で2匹仲良く元気いっぱいで暮らしていることでしょう。

※現在みなとねこでは特定の協力団体以外からの保護依頼などは受け付けておりません。

みなとねこ
https://www.minatoneco.com/

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