やや流行が落ち着いたようですが、糖質制限ダイエットには明確な減量効果のエビデンスがあります。私もゆるめの糖質制限ダイエットを行ったことがありますが、効果を実感しています。しかし、厳しい糖質制限はストレスが大きいため、挫折する人も多いのではないでしょうか? 糖質制限ダイエットの正しい知識と上手な付き合い方について解説します。
糖質を減らすことに特化したのが糖質制限ダイエット
食事制限でダイエットを行うにはエネルギー摂取量を減らすことが基本です(※1)。エネルギー源になるたんぱく質、脂質、炭水化物のうち、減らすべきは脂質と炭水化物の糖質(注1)ですが、糖質を減らすことに特化したのが糖質制限ダイエットです。英語では糖質制限ダイエットをlow-carbohydrate diet(低炭水化物ダイエット)と呼びますが、この炭水化物は糖質の意味で用いられています。
糖質制限ダイエットに公式な定義はないのですが、一般的には炭水化物(注2)を130 g/日未満またはそのエネルギー比率を26%未満にした食事とされています(※2)。食事としては、主食などの糖質を減らす代わりに、脂質とたんぱく質が主体の肉、魚、卵などは自由に摂取してもよいとされています(※3)。
注1;炭水化物は消化される糖質とされない食物繊維からなります。
注2:基準となる量を表す時は、本来糖質の量を示すべきです。しかし、食物繊維の影響が小さいこともあり、一般に糖質ではなく炭水化物の量で表されるため、ここではそれに従います。
本当に減量できるの?
まずは原理を説明します。糖質を摂ると血液中のブドウ糖濃度が上昇し、すい臓からインスリンが分泌されます。インスリンは糖や脂肪を体脂肪として身体に蓄積させる作用を持つため、分泌量が多いと体重が増加します。これとは逆に、糖質制限を行うとインスリンの分泌が抑えられ、糖や脂肪が分解する方向に向かい、体重が減少すると考えられています(※4)。また、糖質制限ではたんぱく質の摂取量が増えますが、これにより満腹感が高まりエネルギー摂取量が減少するため、これも要因と考えられます(※5)。
次に有効性のエビデンスですが、ここでは最も質の高い根拠とされるメタ解析の研究結果を1つ紹介します。メタ解析とは複数の研究結果を統合して解析する方法です。オランダのフローニンゲン大学を中心としたグループは、12のヒト臨床試験の結果を対象として糖質制限と脂質制限の減量効果を解析しました。全ての研究を平均すると、試験開始時からの減量幅は、6、12カ月後のそれぞれで糖質制限が6.8、5.4 kg、脂質制限が5.3、3.5 kgでした(※6)。つまり、12カ月後ではやや体重が戻る傾向にありますが、どちらの方法でも減量でき、糖質制限の方がやや効果が高いようです。