「ディスクシステム」
昭和後期を舞台に、小学生のいくる少年やその家族を中心に、当時の懐かしい思い出を綴った漫画、『しなのんちのいくる』を制作する漫画家の仲曽良ハミさん(@nakasorahami)。同世代にはお涙必至のオモチャを紹介されました。
今年2023年、発売40周年を迎えた任天堂の家庭用ゲーム機・ファミリーコンピュータ(通称ファミコン)。発売から2年後の1985年、『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットにより、世界中を熱狂の渦に巻き込んだことは、誰もが知るところです。
そんなファミコン全盛期の1986年に発売されたのが、「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」です。
ディスクシステムはファミコン本体に機器を装着、従来のソフトのようにロムカセット式ではなく、ディスクカードと呼ばれる専用のディスクメディアを読み込ませることでゲームをプレイする、という特徴がありました。
ディスクカードの値段は、一般のファミコンのソフトより安価。しかも玩具店やゲーム専門店に設置されていた「ディスクライター」を使えば、わずか500円で別のゲームに書き換えることもできて、お小遣が少なくソフトのカセットがなかなか買えない子供たちにとっては、とても嬉しいものだったといいます。
『スーパーマリオブラザーズ2』や『ゼルダの伝説(初代)』、『メトロイド』といった名作ゲームも、このディスクシステムより生まれています。
夢の「ディスクシステム」を手に入れて…
当時としては、非常に画期的なアイテムだったディスクシステム。当時小学生のいくる少年は、そんな夢のシステムをどうしても手に入れたいと思っていました。
父の機嫌が良いタイミングを見計らい、さらにおだてたうえで、ディスクシステムがいかに優れたものなのかプレゼンを実施。見事に購入してもらうことに成功しました。
ついに念願のアイテムを手に入れたいくる少年、「これで自分の小遣いでも毎月ゲームが買える」と大はしゃぎ。早速友人を呼んで、プレイします。
ところが、最初のソフトはものの一時間プレイしただけで、すぐにゲームを書き換えることに。
「街に子供だけで遊びに行くのは禁止でした」(仲曽良ハミさんのブログより)
本来は大人たちから止められていた子供同士での遠出。学区外に出て大丈夫だろうか――という気持ちがありながらも、いくる少年と友人は欲望を抑えられず、隣町の玩具屋へと出かけてゆくのでした。
街でカツアゲに遭遇…!そこで友人が見せた漢気
電車に乗り、隣町までやって来た二人。玩具屋の前までたどり着きますが、そこで案の定というか、不良中学生に声をかけられてしまいました。
さらに、無理やり人気のないところに連れていかれ、「持ってるカネ、全部出せ」と脅されてしまいます。
すっかりビビってしまったいくる少年は、さっさとお金を差し出して、解放されたいと思います。しかし、ここで友人が叫びました。
「やだよ!(ゲームの)書き換えできねえじゃねえか!帰りの電車賃だってあるんだぞ!」
思わぬ友人の漢気に、いくる少年は驚きます。そこへ運よく、お店の店員が駆けつけて、二人は何とか事なきを得たのでした――。
そして、無事ディスクの書き換えを終え、帰りの電車の中。
「帰ったらお前先にやれよ。お前に先にやって欲しいんだ」
といくる少年は言います。カツアゲされそうになった時、すぐにお金を差し出そうとした情けない自分を責めない友人への、せめてもの友情でした。
しかし、そんないくる少年に対して、友人は「何言ってんだ?一緒にやろうぜ」と、どこまでも優しいのでした――。
「ディスクシステム」を懐かしむ声多数! カツアゲも多かった…
そんなディスクシステムにまつわるお話。漫画が公開された「X」(旧Twitter)のリプ欄にも、懐かしむ声が多く寄せられました。
「1986年に買ってまだ持ってます」
「新しい書き換えが楽しみだったねー」
「昔の出来事なのに新鮮味を感じるのは何故でしょう」
「めっちゃ世代なんですけど、ディスクシステムってそんなシステムだったんですね。革新的だなぁ、、、」
「復刻してほしいですなー」
「ディスクシステム」にまつわる漫画について作者に聞いた
仲曽良ハミさんに聞きました。
――ディスクシステムにまつわる懐かしいエピソードですが、ご自身の実際の体験談をベースに作られたものでしょうか?
仲曽良ハミさん:実話がベースです。
――作中にカツアゲをされかけるという場面もありますが、当時はこのような不良も多かったのですか?
仲曽良ハミさん:不良中学生は多かったです。当時はこんなふうにカツアゲされることもありました。オモチャ屋さんの前も危険でしたが、やっぱり一番危険なのはゲームセンターでしたね。
――ディスクシステムはどのくらいの期間、遊んでおられましたか?
仲曽良ハミさん:ディスクシステムは買ってから2年くらいは遊んでましたが、いつの間にかなくなってしまいました。
――本作を含め、思い出をテーマに漫画を多数の制作されていますが、シリーズの主人公の「いくる」は、仲曽良さんがモデルなのですね?
仲曽良ハミさん:いくるは僕がモデルです。(シリーズに登場する)家族も僕の家族がモデルになります。
◇ ◇
漫画家になりたいという昔からの夢を叶えるため、40代で脱サラし、SNSで漫画を発表しつづけている仲曽良ハミさん。現在、ご自身をモデルにした「いくる」やその姉「しなの」ら一家を中心に、懐かしい少年時代の思い出を綴った『しなのんちのいくる』が人気を博しています。
同作は、「X」(旧Twitter)やInstagram、ライブドア公式ブログにて随時更新中。さらに、単行本も2巻まで発売されています。
■仲曽良ハミさんの「X」(旧Twitter)はこちら
→https://twitter.com/nakasorahami
■仲曽良ハミさんのInstagramはこちら
→https://www.instagram.com/nakasorahami8330/
■仲曽良ハミさんのブログ『しなのんちのいくる』はこちら(ライブドアブログ)
→https://nakasorahami.com/
■『しなのんちのいくる』単行本2巻はこちら(Amazon)
→https://amzn.asia/d/1zUUqeg