小学生の吹奏楽バンドに使ってほしいと、設立準備をしている滋賀県守山市の守山市文化体育振興事業団に、山形県の米沢商業高吹奏楽部から楽器が寄付された。来年3月の学校の統合で廃棄される見込みだった楽器で、事業団は「吹奏楽への情熱を受け継ぎたい」としている。
寄付されたのは、トランペットやホルン、サックスなど8種類の楽器計9本。米沢商高は1902年創立で、吹奏楽部は1996年に全日本吹奏楽コンクールで銀賞を獲得するなど、東北の強豪校だった。少子化などの影響で米沢工業高との統合が決まり、吹奏楽部も統合される見通しという。
寄付は、守山市内でふくさなどの和雑貨を製造する「清原」の清原大晶社長(48)が今年3月ごろ、米沢市の取引先から同高の閉校記念グッズとして名刺入れの製造を依頼されたのがきっかけ。吹奏楽部が所有する楽器はどうなるのか学校に問い合わせるとともに、守山市文化体育振興事業団に楽器の引き取りを持ちかけ実現した。
8月、同事業団が指定管理者を務める守山市民ホール副館長の小森慎也さん(48)と、吹奏楽の指導や指揮などを務める武藤千尋さん(66)が米沢市に出向き、同高から楽器を引き取った。50年前に購入されたとみられるものや、一部傷んでいる楽器もあったものの、修理や補修をすれば使える見込みで、子どもたちが使うほか、予備の楽器として保有するという。
武藤さんは「チューバやコントラバスなど、入手しにくい楽器を寄付してもらえてありがたい。大切に使わせてもらいたい」、小森さんは「せっかくの縁なので、今後もなんらかの形で米沢の人たちと関われたら」と喜ぶ。
清原さんは「高校生たちも、遠く離れた滋賀で楽器を使ってもらえるのを喜んでいた。部活動の地域移行を少しでも応援できたら」と話す。