本人にとっては深刻な悩みでも、なかなか人に言えないことがあります。例えば多汗症。手や足、脇の下、頭といった体の各部位で過剰に汗をかく疾患で、原発性局所多汗症の患者数は推定670万人とされています。
当事者や家族らでつくるNPO法人多汗症サポートグループ(東京)によると、汗が気になって恋人と手を繋げなかったり、勉強中にノートの字がにじんだりするなど、日常生活で苦しい思いをしている人が多い半面、子供の頃から誰にも相談できずに抱え込む傾向が強いそうです。そもそもこれが「病気」であるという認識があまり共有されておらず、一般にも周知されていないため、余計に独りで悩みを深め、人によっては自己嫌悪感や対人恐怖症などを引き起こしてしまいます。
このようないわゆる“サイレントな悩み”は、他にも、慢性的にお腹の調子が悪い「過敏性腸症候群(IBS)」、さらには口臭やワキガなどの「匂い」も挙げられます。IBSの症状を抱える日本人は7人に1人とされますが、多汗症や体臭などと同様、やはり人には相談しづらい生理現象の悩みです。これらの症状は「周りの人から不衛生だと感じられてしまう」「病院の受診率、再診率が低い」「認知を広げる団体が少ない」といった共通点があるのも特徴です。
この多汗症、IBS、自分の匂いに悩む人たちでつくる3団体による交流イベント「サイレントなお悩みエキスポ2023」が、8月19日に東京であります。前出の多汗症サポートグループのほか、「過敏性腸症候群の患者任意団体・IBS place」と「自分の匂いで悩んでいる人たちが気軽に集えるカフェ・ゆあのあ」が実行委員会となり、当事者が悩みを語り合い、勇気を持って一歩踏み出す機会を目指します。入場者数は250人から500人程度を想定しています。
イベントの内容は、医師が参加するトークショーや相談ブース、参加者が体験を共有できるスペース、価値観の違いを知るゲームなどを予定。参加は無料で、オンラインも併用します。主催者は「私たちメンバーも、誰にも相談できないことが何より辛かった。このイベントが、誰もが気軽に集い、病種を超えた学びと交流の場になることを心の底から願っています」と話しています。
【イベント名】サイレントなお悩みエキスポ2023
【日時】8月19日(土)11時〜18時
【会場】文京グリーンコートセンターオフィス19階(東京都文京区本駒込2-28-8)
参加申し込みは、特設サイト(https://silent-na-onayami.hp.peraichi.com/)から。