アピール強めのきょうだいにタジタジ 「どうぞどうぞ」と譲ってしまう犬 穏やかで優しい気性を大切に幸せの道を歩むよ

松田 義人 松田 義人

北海道・滝上町で長年問題となっていた半野犬問題。身勝手な人間に捨てられたワンコに、住人や通りすがりのドライバーたちが餌を与え、餌付けされた半野犬たちが繁殖し続けるというものです。

ここにいる半野犬の中には自ら車に近づき餌を求めるワンコもいて、「野犬が車道に出てきて交通事故を起こしそうになった」という通報もあるほどでした。

きょうだいの中でも、ビビリ度強め

滝上町の半野犬問題に、数年前から尽力しているのが保護したのは北海道を拠点に動物の保護活動を行う、認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。しっぽの会では昨年秋、この地で発見された生まれ間もない8頭の子犬たちを保護。健康診断・適切な治療を行なった後、この子犬たちに人馴れトレーニングを実施し、新しい里親希望者さんへの譲渡を目指しています。

そのうちの1頭で、真っ白の毛並みと垂れ下がった右耳が特徴のチロルというオスのワンコがいます。チロルは、一緒に保護されたきょうだいの中でも特にビビリ気質が強く、スタッフになかなか心を開いてくれないワンコでした。声をかければ逃げ惑い、触ろうとすれば逃げ惑いの繰り返し。

滝上町の半野犬をはじめ、その他のさまざまな場所から多くのワンコを保護し、接してきたしっぽの会のスタッフは慌てません。そんなビビリのチロルのペースを大切に優先させながら、時間をかけてゆっくりゆっくり距離を縮めていくことにしました。

接し続けることで見えてきた本来の性格

このようにスタッフが慎重に接し続けると、チロル本来の性格も次第に見えてきました。

一緒に保護されたきょうだいの中には「私が先よ!」「僕が先だ!」と前へ前へと進みアピールするワンコがいる一方、チロルはどうも控えめです。ビビリということもあるのでしょうが、アピール強めのワンコがいると「どうぞ、どうぞ」と譲ってしまうようなところがあります。

しかし、違う見方をすれば、チロルはそれだけ穏やかで優しいワンコだとも思えます。このことからスタッフは、「チロルがさらに人間に馴れてくれれば、絶対に優しい里親さんのもとで幸せな生活を送れるはずだ」と確信しました。

穏やかで優しい里親さんを募集中

しっぽの会に来てから約10カ月となり、チロルは当初よりも大きく成長しました。人見知りが強く、見知らぬボランティアさんがお散歩に連れ出そうとして固まって動けなくなり、パニックの末に脱糞してしまうこともありました。しかし、「この人は悪い人じゃない」「僕の仲間だ」といった信頼を築ければ、チロル本来の穏やかな性格と優しい一面をいっぱい出してくれると思います。

現在、しっぽの会ではチロルを迎え入れてくれる里親さんを募集しています。こういったチロルの性格を理解してくれ、チロル同様、穏やかで優しい里親さんとの出会いを望むとスタッフは言います。

まだ成長途中のチロルではありますが、犬生にとって大事なこの時期を手厚くサポートしてくれる里親希望者さんは、ぜひしっぽの会に問い合わせてみてください。

認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会
https://shippo.or.jp/#gsc.tab=0

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