暴れん坊で、野良になっていた可能性も 連夜泣き続けていた保護猫に、ある朝変化が…「遠慮なくデレ発動しました」

渡辺 陽 渡辺 陽

家猫になれないかも

神楽ちゃん(2歳2ヶ月・メス)は、東京都内の公園で保護された。保護した人が動物病院に勤めている人だったので、その病院で里親を探すことになった。保護当時はあまりにも暴れん坊だったので、「家猫にするのは無理かもしれない、さくら耳にして公園にリリースしようか」という話もあった。

その後、病院から預かりボランティアに託され、その人の家で過ごし、たくさんの猫に囲まれて育ったそうだ。安心したのか、少しずつ人にも慣れてきたという。

縁あって迎えた猫

東京都在住のSさんは、元々実家で猫を飼っていたこともあり、猫が好きだった。玄関を開けると駆け寄ってきてくれたり、のんびり寝ていたりする姿を見て、「また猫と暮らしたいな。お迎えできたらいいな」と思っていた。
「コロナ禍で自宅にいる時間が増え『猫さんをお迎えしたい!』という気持ちがどんどん大きくなりました。長い間猫を飼っていなかったし、仕事や趣味で家を空けることもあるので大丈夫かなとか、色々不安はありました」

それでもSさんは、猫を迎える決意してから、猫カフェに行ったり、譲渡会の情報をチェックした。

「気になる子がいて連絡しても、条件が合わずお迎えには至らないことも。何度かがっかりしています。神楽を譲渡してもらった動物病院では、子猫から成猫まで何匹か会わせてもらいました。神楽に会った時は、『ああ、この子だな』と直感しました。ご縁だと思います」

神楽ちゃんは、待合室でも指をスンスンしてくれて、Sさんの膝の上で寝てくれた。

「本当に可愛くて…スタッフさんに色々質問しながらも、心は決まっていました」

猫がいるだけで笑顔に

Sさんは、2021年10月、神楽ちゃんを迎えた。生後半年だった。

「お迎えした日はとても緊張していて、飲まず食わず、ケージの中でじっとしていました。急に1匹になって寂しかったのか、神楽は明け方になると鳴き続けました。私も眠れぬ夜が続き、辛かったことを思い出します」

2週間近く経った頃、突然朝までぐっすり眠れたので、「どうしたのか」とケージをのぞくと、神楽ちゃんは、キリッとしたきれいな顔で真っ直ぐSさんを見てきた。朝日が降り注いでいた。

「その時、『うちの子になる決意をしたんだな』と悟りました。それからは遠慮なくデレ発動です(笑)」

名前は、夫婦揃って神輿が好きなので、神事に関する言葉から選んだという。

神楽ちゃんは、表情豊か。ツンとデレがはっきりしているビビりちゃんだ。
「病院に行っても鳴き声一つあげない、肝が座っている一面もあるザ・お三毛様。猫草と白菜に丸ごと噛じりつくほど葉物野菜が大好きです」

Sさんは、神楽ちゃんと暮らしてから時間の無駄がなくなったと実感している。

「早く神楽に会いたいので、とことん楽しめるお付き合い以外はお断りして、真っ直ぐ帰宅しています。そして、家族でのんびりとした時間を過ごしています。猫がいるだけでこんなに笑顔が増えるものなのですね」

お迎えしてから毎日可愛いが更新され、たくさんの幸せをもらっているというSさん夫妻。神楽ちゃんに、ずっとのんびり幸せに過ごして欲しいと、心から願っているそうだ。

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