なお調査にあわせて、パナソニック・エアーマイスター兼睡眠改善インストラクターの福田風子さんは、夏のエアコン利用や、暑い時期の快眠術について、以下のように解説しています。
【エアコンを使った快眠ワザ】
▽エアコンは寝室に入る30分前にON、上に向けて風をあてておく
一般的には、室温26~28℃が心地よく眠れる環境だといわれていますが、温度同様に重要なのはエアコンを運転させるタイミング。ついやりがちな間違いが、布団に入ったタイミングでスイッチを入れること。日中に室内に溜め込んだ熱が、夜になっても天井や壁にこもっているため寝るタイミングでエアコンをつけても、室温が下がるまでに時間がかかることがあります。寝室に入る30分前にエアコンをONにし、上に向けて風をあてておくのが、効率よく良い睡眠環境を作るコツです。
▽タイマーは設定せず、設定温度は26度~28度に
理想は、就寝中も寝室の温度をコントロールすること。就寝前は少し温度を下げることで深部体温を下げ、就寝中は温度を下げすぎず、目覚めに向けて少しずつ温度を上げることです。湿度が高いと手足からの放熱が妨げられ、深部体温が下がりにくくなるため、寝苦しくなりがちです。
夏場は、寝室の温度だけでなく湿度にも注意しましょう。寝室の湿度は60%以下に保つことが重要です。湿度が高い時はエアコンの温度を下げる、または、エアコンを除湿運転する、といった対応をおすすめします。
▽扇風機との併用使いのすすめ
エアコンの風が苦手という人も多くいるかもしれません。そういった人は温度を下げすぎてしまっていることが考えられます。エアコンの温度設定は下げすぎず、ただ、どうしても室温が高くて寝入りが悪いという人は、扇風機を併用することもお勧めです。その際は、表面に太い血管の通っている足首あたりに風を当てると深部体温が下がりやすく眠りに適した環境になります。
<NGポイント>
風を体の1ヶ所だけに長時間あてつづけるのは体が冷えすぎてしまう可能性があるのでNGです。
【寝苦しい夏に役立つ6つの快眠ワザ】
▽お風呂は寝る1時間前までにバスタブで入浴する
深部体温をスムーズに下げるためには、反動を利用するのがコツ。意外と大切なのがバスタブにつかって入浴することです。夏でも38~40℃のお風呂に20分ほどつかるのがおすすめです。入浴することで深部体温は約0.5℃上がるといわれていて、一度上がった深部体温は反動でより下げようとする体の性質があり、この落差が寝入りやすさにつながります。
<NGポイント>
上がった深部体温はお湯の温度にもよりますが、約1時間かけて徐々に下がっていき、この時に眠気が高まるので、「寝る直前にお風呂に入る」はNG対策。タイミングを逃さず布団に入れるように、入浴時間を調整してみましょう。
▽シャワーだけなら3つの「首」を温めることで快眠モードに
夏にお湯につかるというのは結構ハードルが高いもの。ただし、シャワーだけという場合でも、足首・手首・首の後ろなど太い血管が通っている部分に合計5分ほど少し熱めのシャワーを当てることで、効率よく深部体温を上げることができます。夏はシャワーしか浴びない、という人はお湯を当てる位置と時間を意識してみましょう。
▽リビングや浴室の照度は控えめに
目から入る光の量が減るほど、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすくなります。入浴前に、リビングの照明をオレンジなどリラックスできる色にしておきましょう。また、浴室内は天井も低く、照明器具が目に近いところにあるため、入浴時に浴室の電気が明るい場合は、照明を消して脱衣所の灯りだけにするか、浴室用の防水間接照明を利用するのも効果的です。ただし、照度を落とす場合は十分に周りに気をつけてください。
▽部屋着からパジャマに着替えておやすみモードに
パジャマに着替えるという行為そのものがルーティンとなり、脳がおやすみモードに切り替わるため、部屋着のまま寝てしまう人は、パジャマを着る習慣を身につけると良いでしょう。質の良い睡眠のために、パジャマは大きな役割を果たします。睡眠中には、コップ一杯の汗をかくといわれています。大量の汗をかくことで、背中と敷き布団の間の湿度が高くなることで寝苦しさを感じるため、しっかり汗を吸ってくれる綿やシルク製のパジャマ着用がおすすめ。
<NGポイント>
夏には「半袖・半ズボン」という人も多いでしょうが、寝具から出た手首や足首に直接冷気が当たって体を冷やしすぎてしまい、快眠が妨げられてしまうことがあります。また全身にかく汗を吸収するためにも、夏でもゆったりとした長袖・長ズボンが理想的です。
▽飲み物はカフェインレスのものを
寝る直前にカフェインが入っている飲み物を摂らないという人でも、夕食時に緑茶などを飲むと、寝つきに影響してしまいます。夕方以降は水や麦茶、ルイボスティーなどカフェインレスの飲み物がおすすめ。
<NGポイント>
就寝前に冷たいものを飲みすぎると血管が収縮して深部体温の調節を妨げてしまうので、できるだけ常温で飲むようにしましょう。「寝る前にお酒を飲む」も寝酒は睡眠を浅くするためNGです。深い睡眠が得られず眠りの質が悪くなります。健康な深い睡眠を得るためには、アルコールは避けた方がよいでしょう。
また、夜中にトイレへ行きたくない、睡眠中にあまり汗をかきたくないなどの理由から、「寝る前に水分摂取を控える」方もいらっしゃいますが、こちらもNG。先程ご紹介の通り睡眠中は汗をかきます。熱帯夜になると、一晩で500~1000ミリリットルも汗をかくことも珍しくありません。熱中症の予防には、汗として失った水分と塩分の補給がもっとも大切です。
▽BGMには自然音や歌詞のない音楽を
入眠時のBGMには、雨音や風、川のせせらぎ、鳥の鳴き声などの自然音か、歌詞の意味を追わずに聴けるインストゥルメンタル音楽などが、脳を休め、リラックスモードに導いてくれるので効果的です。
◇ ◇
【出典】
▽パナソニック「エオリア」調べ