害はないのに外見から不快に思われる川辺の「嫌われもの」大量発生 観光への影響も 苦情の声受け対策も、発生抑制策なし

京都新聞社 京都新聞社

 宇治川で春から秋にかけて大量発生する水生昆虫トビケラを巡り、京都府宇治市は今年、対策を強化している。新型コロナウイルス禍が落ち着き、観光客が戻りつつある中、影響を危ぶむ商店街や地元住民から異例の要望も出ており、薬剤散布の回数を増やす対応を取っている。

 トビケラは春から秋にかけて体長1~2センチの成虫が随時羽化し、宇治川沿いを飛び回る。刺したり触れてかぶれたりするといった人への害はないものの、外見がガに似ていることから不快に思う人が多い。今のところ、抜本的な発生抑制策はない。

 市環境企画課によると、今年は春先から例年以上に多く発生しているとみられるという。5月にいったん減少したものの、6月に入って再び増加し、市民から苦情の声も相次いでいる。

 市は対策を強化するため、高電圧で駆除する電撃殺虫器の稼働に加え、例年は3回実施している薬剤の散布を5回に増やす。これまでに4月の観光シーズンに2回、「宇治川の鵜飼」の開幕を控え6月28日に1回実施した。残り2回は「状況を見極めて効果的に散布する」としている。

 新型コロナの感染対策が緩和され、地元では観光客の回復に期待がかかっている。一方、トビケラによる観光地としてのイメージ悪化や生活への影響が懸念されるため、5月下旬に宇治橋周辺にある4商店街団体と町内会などが市へ対策強化と現状把握を求める要望書を出した。

 松村淳子市長は「各団体とも協力し、観光に来た人たちが楽しめるよう環境づくりに努める」と話している。

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