みなさんは、「おじさんビジネス用語(ある年代以上がビジネスにおいて使う用語を表したもの)」と呼ばれるビジネス用語をどのくらい理解していますか。社会人に聞いた調査によると、「音頭を取る」は約半数が「意味が分かる」と答えた一方で、「ロハ」では8割近くが意味を答えられないことが分かりました。
語学学習アプリ『Duolingo』を提供するDuolingo,Inc.(ピッツバーグ/米国)とLinkedIn(東京都千代田区)が共同で実施した「State Of Workplace Jargon(ビジネス用語の使用に関する実態調査)」調査です(2023年5月実施)。18~76歳のグローバル社会人を対象に、日本のほか米国、英国、オーストラリア、インド、コロンビア、ブラジル、ベトナムでも行われ、総計8227人に聞きました。
日本の社会人に限定して行われた「おじさんビジネス用語」に関する調査。以下のような日本独自の10個のビジネス用語について、正確な意味が答えられるものを聞きました。
▽「あいみつ」相見積もりの略語
▽「1丁目1番地」真っ先に着手すべき最優先課題
▽「音頭をとる」率先して物事に取り組むこと
▽「鉛筆なめなめ」数字の帳尻合わせの喩え
▽「がっちゃんこ」2つ以上のもの(アイデアなど)を合わせ、1つのものにすること
▽「ガラガラポン」すっかり入れ替えること)
▽「全員野球」関係者全員が一致団結して目的に向かって行動することの比喩表現)
▽「ツーカー」気心が知れていること
▽「ロハ」無料であること
▽「よしなに」いい具合になるよう、よろしくの意
その結果、認知率が高い順に「音頭をとる」(51.90%)、「ツーカー」(43.71%)、「あいみつ」(38.12%)、と続いた一方で、「ロハ」(22.16%)では、8割近くが答えられない結果となり、「どの用語の意味も分からない」(17.66%)も2割弱見られました。
なお、いずれの用語も、世代が低くなるにつれて意味を答えられる人の割合が減っており、Z世代では、「音頭を取る」(27.20%)、「がっちゃんこ」(22.00%)を除く8つのビジネス用語において、意味が分かる割合が20%を切っていました。
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また、日本の社会人が挙げた「最も混乱したビジネス用語」は、1位「バジェット(Budget、予算や経費のこと)」、2位「ASAP(As Soon As Possible、できるだけ早くの略語)」、3位「アジェンダ(Agenda、議題)」、4位「アサイン(Assign、任命する)」、5位「リスケ(Reschedule、日程の再調整)」でした。
一方、「最も一般的なビジネス用語」では、1位「エビデンス(Evidence、裏付けとなる客観的事実)」2位「リスケ(reschedule)」3位「アジェンダ(Agenda)」、4位「コミット(commit、結果を約束する)」、5位「コンセンサス(Consensus、意見の一致)」となっています。
なお、英語を母国語としない日本でも英語の専門用語が挙げられたことについて、Duolingo側は「ビジネスのグローバル化と、若い世代の社会人が、英語の専門用語をその国の言語に直接翻訳せずに職場に持ち込んでいることの両方が原因であると考えられます」とコメントしています。
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職場で使われているビジネス用語については、世界8カ国全体でみると40%が「職場のビジネス用語の意味を知らなかったために、仕事で誤解やミスをしたことがある」と回答しており、これを日本の社会人に限定すると22.9%という結果になりました。
さらに、日本の社会人の26%が「ビジネス用語の使用は混乱を招く」と感じているほか、20%が「コミュニケーションを複雑にしすぎている」とも答えており、これらビジネス用語の誤解が、「追加の会議」「メール」「修正」といった形で「無駄な時間につながっている」と日本の社会人の70%が感じていることが分かりました。
また、世界8カ国全体では49%、日本の社会人に限定すると約40%が、少なくとも週に1度は「職場の会議でビジネス用語を使う人がいると、理解できない言語を話しているように感じる」と回答。さらに、世界8カ国全体では19%、日本の社会人に限定すると12%が、「一緒に働く人がビジネス用語を多用すると、一体感のある環境を作れない」と回答しています。
その一方で、「ビジネス用語を理解している同僚は、理解していない同僚よりも仕事で出世(昇進、昇給など)できる」と答えた割合は、世界8カ国絵全体では64%、日本の社会人に限定すると33.2%となり、仕事でのビジネス用語の多用が、昇進の機会の不平等を生むことがうかがえたそうです。
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【出典】
▽Duolingo調べ